閑古鳥鳴く自衛隊接種会場「全国から来て」に怒りの声 「GoToワクチンで感染を広げる気か!」(1)

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   スタートした時は「推すな、押すな」の大盛況だった自衛隊による新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センター。わずか2週間で、閑古鳥が鳴くありさまに......。

   全国各地で自治体が始めた大規模接種会場も同様のガラガラ状態だ。

   あわてた防衛省では2021年6月10日、対象地域を全国に広げた。「遠く北海道や沖縄からもどんどん来てほしい」というわけだが、ネット上では、

「GoToトラベルならぬGoToワクチンか? 都道府県をまたぐ移動を控えてほしいと政府が呼びかけているのに、感染拡大する行動を勧めてどうする!」

と、猛批判が上がっている。

  • 自衛隊の医官がワクチンを打つ(防衛省の公式サイトより)
    自衛隊の医官がワクチンを打つ(防衛省の公式サイトより)
  • 自衛隊の医官がワクチンを打つ(防衛省の公式サイトより)

史上空前の自衛隊オペレーションのはずが...

   5月24日に自衛隊のワクチン大規模接種センターがスタートした時は、

   「自衛隊が始まって以来の初めてのオペレーション」(中山泰秀防衛副大臣)と、銘打っていた菅義偉内閣の一大プロジェクトだったが、大失態である。

   主要メディアの報道をまとめると、防衛省は6月10日、東京と大阪の大規模接種センターについて、対象地域を全国に拡大すると発表した。これまでは、東京など1都3県と大阪など2府1県に住む、接種券が送付された65歳以上の高齢者を対象としてきた。

   ところが、10日午後5時現在で、6月14日~27日分の新規予約が東京会場で約8割、大阪会場で約7割も空きがあることがわかった。用意したワクチン総計21万個のうち、約15万個も余ってしまうことになる。

   中山泰秀防衛副大臣は10日夕の記者会見で、

「今後、基礎疾患のある方や、64歳以下の方々などにも接種券が送付されるので、そういう人々にもさらなる対応をしたい」

と述べた。つまり、今すぐではないが、市町村から64歳以下の人々に接種券が届くころを見計らって対象者の年代を下げるというわけだ。

   また、これまでインターネットとLINEのみだった予約申し込みも、12日午前7時から専用の電話窓口でも受け付けることにした。

   これは、当然のことだろう。内閣府の昨年(2020年)1月の調査(編集部注:情報通信機器の利活用に関する世論調査)によると、70歳以上の57.9%、60歳代の25.7%がスマートフォンやタブレットを持っていないのが現状だ。評判が悪かったネット予約ができない高齢者への冷たい対応をようやく改めることにしたわけだ。

広島県知事「こんなに低調とは。正直驚いている」

   いったい、どのような閑古鳥状態なのか。

   テレビ朝日(6月9日付)「なぜ? 大規模接種会場がガラガラ、予約が埋まらず」が、こう伝える。

「2日連続となった真夏日のなか、東京・大手町では9日も自衛隊運営によるワクチンの大規模接種が行われました。しかし、東京会場と大阪会場の予約に異変が生じています。東京では来週が約76%、再来週では93%以上の予約枠が残り、大阪でも再来週の予約枠が94%以上埋まっていません。出足が鈍ってきたのは東京や大阪だけではありません。6月7日から大規模接種が始まった広島県福山市の会場。目立つのはずらりと並んだ空席。この会場では1日最大1800人が接種できますが、初日はわずか89人。想定の約5%でした」

   閑古鳥が鳴いているのは、自衛隊の大規模接種センターだけでなく、全国各地の大規模センターも同様なのだ。その広島県の福山市の例はこうだ。地元放送局の広島ホームテレビ(6月8日付)「広島県大規模接種スタート 会場はガラガラ 福山市」が、こう伝える――。

   《高橋勇介記者「きょうから始まった福山市の大規模接種会場。こちらは待合スペースですが、空席が目立ちます」

   福山市に住む83歳の森本さんは家族に連れられ会場を訪れました。かかりつけ医では来月末の接種となるため大規模接種会場を利用しました。

ワクチンを接種した森本さん「打ってもらわないと夏は越せない。これを打つためにどれだけ気を使ってね(過ごしたか)。ホッとしました」

   会場では1日最大1800人が接種できますが、初日に予約した高齢者は89人のみ。想定のわずか5%。県は福山駅と会場をバスで結びますが、午前中の利用者はたった1人。この状況に湯崎知事は。

広島県の湯崎英彦知事「正直驚いている。みなさん、打ちたいんじゃないかと思っていたので、こんなに低調なのはまったくの予想外。予約を余らせないように対応していきたい」

   広島県では9日以降は、対象地域に府中市を加えるなど対応に追われています。》

   広島県によると、米モデルナ製ワクチンを使うが、医師10人、看護師25人を含む計125人を接種会場に待機していたのだった。その人々より、来場者が少なかったのだからショックだろう。ただし、地元メディアによると、福山市では80歳以上にしか接種券を配っておらず、80歳以上の人が行くには福山駅から遠い所に会場があった。そのことを広島県が知らなかったという連携ミスも響いているようだ。

   長野市でも予約枠が埋まらなかった。NHK(6月4日付)「大規模接種予約枠埋まらず 一部の日程定員を縮小 長野市」によると、長野市は長野五輪の会場となった「ビッグハット」と「エムウェーブ」で6月5日から大規模接種を行う予定だった。ところが、予約枠がほとんど埋まらない日があり、定員を半分に縮小した。それでも予約は2割ほどにとどまったという。NHKはその理由をこう伝える。

「原因について、長野市はワクチン接種の希望者を実態より多く見積もった可能性があるとしています。このため市ではワクチンを無駄にしないため、高齢者と障害者の入所施設、それに救護施設で働く人たちの接種も進めることを決め、市内およそ370の施設に接種を呼びかける通知を出しました」

   つまり、ワクチンを打ちたくないという人が予想以上に多かったということだ。

(福田和郎)

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