エア・ドゥとソラシドエアが経営統合は見せかけの「良縁」? 両社の腰が引けているワケ

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「ドル箱」羽田の発着枠は48に拡大

   ただ、AIRDOとソラシドエアは、それぞれ子会社として傘下に入り、両社の経営の独立性は維持し、それぞれのブランドも存続させる。路線網や運賃、発着時間など航空事業の柱となる戦略での協業には踏み込まないという。

   「経営統合」といいながら、どこか腰が引けた印象だが、それは航空行政にかかわる。

   新興の航空会社には競争促進のため、「ドル箱」の羽田の発着枠が優先配分されている。羽田便はAIRDOが23枠(往復)、ソラシドエアが25枠(往復)持ち、経営を統合して48枠となれば、スカイマーク(東京都大田区)の37枠を上回る。

   ただし、合併などにより事業面で2社が一体化すれば、羽田発着枠の優遇枠が召し上げられるおそれがある。このため、統合を発表した会見でAIRDOの草野晋社長は「ただちに(優先枠ルールに)抵触するものではない」、ソラシドの高橋宏輔社長も「両社が地域の翼として独立を継続する」と強調した。

   じつは、この羽田優先枠ルールは出資関係にも及ぶ。両社はそもそも、スカイマークや北九州を拠点とするスターフライヤー(北九州市)などと同様、日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)に対抗すべく、2000年前後に新規参入した「第3極」の地域航空会社の第1陣だが、競争激化でいずれも経営難に陥り、結局は4社ともANAホールディングス(HD)の出資を受け、経営再建した経緯がある。

   ANAHDの出資比率はAIRDOが13.61%、ソラシドエアが17.03%で、これが20%を超えた場合も羽田発着枠の優遇対象から外れる。両社の今回の増資を政投銀などが引き受けたのには、ANAHDにこれ以上頼れない事情があった。

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