次に正常化に向かう中央銀行はどこだ!?
このように、「正常化」に一歩踏み出した国の通貨から買われ始めています。マーケットでは次に「正常化」に向かう「中銀探し」が始まっているといえます。
今後気になるのは、欧州中央銀行(ECB)でしょうか。6月10日にECB理事会が開催されます。マーケットの一部にはECBも正常化方向にステップを踏むのではないかとの見方がありました。実際に独10年金利はこのところ急上昇、それに歩調を合わせてユーロドルも上昇してきました。
ところが、このところのラガルド総裁を始めECBの各理事達は、口を揃えて「正常化」はありえないと発言しています。私は6月10日にはECBも少し「正常化」方向にシフトするのではないかと思っていましたが、皆が皆、金融緩和を否定する以上、その可能性は低そうです。
英国は次の理事会(6月24日)では量的緩和の規模を縮小する可能性があるのではないかと思います。おそらく、ECBより正常化スピードは早いでしょう。そうなると、EUR・GBP(ユーロ/英ポンド)の方向性は下方向ということになると思います。
ニュージーランドが動いたので、次はオーストラリア(豪)? という連想は働くと思います。豪中銀は7月の会合で公債買い入れ延長を行うかどうか決めることになっています。
しかし、ニュージーランドよりも正常化スピードはゆっくりになりそうです。なぜならば、賃金の上昇スピードが遅く、国内のインフレ圧力が極めて弱いからです。中国との関係悪化も金融政策の「正常化」を妨げる要因の一つと言えるでしょう。
肝心の米国ですが、先日のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録で 「a number of」(何人かの)委員が「近い将来のいずれかの会合において、資産購入ペース調整のための計画(テーパリング)を話し合うことが適切ではないか」という言及がありました。
テーパリングに関して初めて具体的に言及があったので、マーケットは少し驚いたと思います。
なぜなら、その時のFOMCにおける会見で、パウエル議長は「テーパリングに関して話し合う時期にきているのではないか、あなたやあなたの同僚たちとその件に話し合わなかったのか?」と問われると、「いや、まだその時期ではない。そのような話をする時期になったら、実際にテーパリングをするかなり前に国民の皆様にお知らせすると言ってきましたし、そうするつもりです」と発言していたからです。議事録の内容と少し矛盾していると言えます。