100ナノメートルの微粒子を99%キャッチする「分子マスク」。2020年11月15日~21年1月31日の期間にMakuakeでクラウドファンディングを実施したところ、目標金額100万円に対して応援購入額は1億8413万970円と大好評を博した。
分子マスクは「クラウドファンディング史上最も売れたマスク」として、2021年2月5日から公式オンラインストア「分子ラボ」で販売している。
ウイルスや細菌、花粉などを99.9%以上キャッチ
「分子マスク」は東京工業大学の谷岡明彦名誉教授が発明した、世界最高水準の「ナノファイバーフィルター」を使用している。
発表資料によれば、ファンデルワールス力(分子と分子が引き合う力)によって、ウイルスや細菌、花粉などを99.9%以上キャッチする(一般財団法人カケンテストセンター実施のPFE試験より)。その一方で、一般的なマスクより2倍呼吸しやすくなっている。
会社ウォッチ編集部は6月3日、東京工業大学の広報課を通して谷岡氏を取材。谷岡氏は2016年からナノファイバーの研究開発を行っており、「ナノファイバーフィルター」は20年4月から10月の半年間にかけて開発した。
その目的を、谷岡氏は次のように話している。
「世界最高性能とされるN95マスクでは新型コロナウイルスの感染を防げず、『NFマスク』であれば感染を防ぐマスクができると考えたからです」
普通のマスクとの違いは、
(1)捕集効率が99%以上である。
(2)何回洗っても捕集効率を低下させずに使える。
(3)N95は静電気を使用しているため、数時間使用すると、水分を含む水蒸気でコロナ放電し、捕集効率99%が30%まで落ちるが、一方の分子マスクは永久に捕集効率が落ちない。
(4)オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を何回使用しても、捕集効率が落ちない。
(5)繊維径が400nm(ナノメートル)以下のナノファイバーで、ファンデルワールス力(分子間力)が発生することで抗菌・抗ウイルスが発現する。
(6)厚みがあることでマスク全体で呼吸する構造となり、呼吸が楽にできる。
などと、これなら新型コロナウイルスの感染を防げそうだ。
現時点で、ナノファイバーフィルターはマスクのみで使用。谷岡氏は今後考えられる使用用途として、空気清浄機やエアコン、業務用フィルターなどが考えられるとしている。