コロナ禍で、テレワークを使って働きながら休暇をとる「ワーケーション」が注目されているが、実際に「導入を検討したことがない」企業が8割以上にのぼることがわかった。
総務専門誌「月刊総務」を発行する株式会社 月刊総務が、全国の総務担当者を対象に調査した。2021年6月3日の発表。
約6割が「ワーク・ライフ・バランスが向上する」と考えている
調査で、ワーケーションとは何か知っているか聞いたところ、「なんとなく理解している」が55.1%で最も多く、「よく理解している」は22.5%だった。また、「言葉は知っているが内容は理解していない」は18.5%、「言葉を聞いたことがない」という回答も3.9%あった。
また、ワーケーションのイメージを聞くと、「社員のワーク・ライフ・バランスが向上する」(59.4%)との答えが6割近くにのぼり、ポジティブなイメージが定着しているよう。ところが、勤務先の企業の実情を聞いた(171人が回答)ところ、「導入を検討したことがない」との答えが85.4%で圧倒的多数。「導入している」との回答は3.5%とわずかだった。
「導入を検討している」が8.8%。「導入を検討したが導入しなかった」(2.3%)との回答もあった=上の円グラフ参照。
調査では、導入ができない理由、導入した理由などについて、書き込みで回答を求めた。ワーケーションの導入に踏み出せない理由として多かったのは、
「経営者への説得が困難」
「セキュリティーの不安」
「テレワークすらおぼつかない状況のため」
という声。
また、「職種間で不公平感が生じてしまうと考えられる」など、公平さを保てるかどうか不安という指摘や、労務管理に対する課題をどうクリアするのかという問題が壁になって前に進まないという意見も寄せられた。
一方、導入した理由、導入を検討している理由として多く寄せられた声は、
「東京でなくても仕事ができる環境になった」
「フルリモートワークに切り替えた」
など、IT化が進んだこと。
「全社員がフルリモート勤務で、テレワークに対する社員の理解はあり、ワーケーションを行いやすいため。これまでワーケーションは社員が自由に行っていたが、勤続期間数によって会社が補助する制度を設計中」という経過説明もあった。導入を検討している理由として「研修宿泊施設の有効活用」との声があったが、他方、導入に消極的な理由として、地方での快適なコワーキングスペースがないという指摘があり、それぞれの企業特有の事情も関係しているようだ。
なお調査は、2021年5月19日~25日に実施。178人の総務担当者から有効回答を得た。