「商談に繋げるキャッチボール」をイメージする 2つの事例をご紹介!(藤崎健一)

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同業他社の情報は誰でも気になる!

   次に、授乳設備を製造販売しているE社の事例を紹介します。

【事例2】ヒアリング結果をお客様ニーズの喚起に活用している事例

   母親なら誰もが乳児連れの外出の際、おむつ替えや授乳のできる施設探しに苦労した経験があるはずです。E社の営業の仕事は、授乳設備の販売です。

   やみくもに営業してもまったく成果は上がりません。「待ってました!」と営業を歓迎してくれる可能性は、限りなくゼロに近いのです。E社の営業がとんでもなく難しいということは容易に想像できます。

   しかし、こんな営業シチュエーションでこそ、「ニーズ喚起」の情報提供が有効です。営業相手は、病院・商業施設の設備責任者です。そこで、病院・商業施設が公表している乳幼児コロナ感染症対策を調査し、その結果をまとめお役立ち情報として提供することにしました。

   同業他社の情報は、感染症対策の責任者であれば誰でも気になります。まして乳幼児が多く来館する施設の感染症対策責任者であれば、なおさらです。

   調査結果に関心を示してくれた方には、御礼を兼ねた調査電話をします。

「御社では、施設の増改築計画はあるか、その時期は何時か」

などをヒアリングしたうえで、今後も継続的に情報を提供しても良いか、という許諾を獲得します。

   許諾を得たお客様には、メールで継続的に情報を提供し、関係を構築する糸口にすることができたのです。そして最後に、この関係ができた先に対して、ヒアリングで聞き取った増改築のタイミングを見計らってタイムリーな営業提案へ繋げることができるようになったのです

   やみくもに営業するのでなく、相手に有用な情報は何を考えて提供し、それに反応した相手との関係づくりに発展させ、さらにお客様の状況を把握しつつベストなタイミングで営業を仕掛けるのです。

   商談に繋げるまでの「キャッチボール」の量と質を向上させた好事例と言えるでしょう。

   次回は「オンライン営業を阻む要因」について、解説します。

※株式会社カレンの藤崎健一社長が6月に展示会の減少に対応するオンライン営業のあり方について、無料のWEBセミナーを開催されます(同じ内容で3回開催)。日時、詳細およびお申し込みはこちらからお願いいたします。
大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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