審査基準の緩和で申請しやすく
世帯数の推移をみると、2020年1月、2月と減少し、その後は緩やかな増加傾向を辿っている。
ただ、前年同月比の動きでみると、2019年12月から20年12月は0.1%減から0.1%増の間での動きとなっていたが、21年に入ると、1月は前年同月比0.2%増、2月は同0.3%増、3月は0.4%増と、増加の一途を辿っている=表2参照。
これは新型コロナウイルスの感染拡大による雇用の悪化を受けていることに間違いはないが、加えて、生活保護申請に対する審査基準が緩和されたことが大きいと思われる。
世帯類型別では、高齢者世帯が91万1167世帯と全体の55.8%を占め、前月よりも1万1535世帯(0.7%)増加、前年同月比では5140世帯(0.6%)増加しており、日本の高齢者の貧困状態が進んでいることが鮮明になっている。
加えて、高齢者、母子家庭、障害者・傷病者の世帯を除いた、一般世帯にあたるその他世帯が24万7682世帯と前月比で99世帯増加しており、前年同月比では6521世帯(2.7%)と大幅に増加している。
これは、一般世帯が新型コロナ禍の影響を受け、生活保護受給に至っていることの表れでもあり、今後の動向が非常に危惧される。(鷲尾香一)