断罪されても処分は「形式」的
今回、処分を受けた幹部の多くは旧郵政省時代に採用されたキャリアだ。同省出身者が中心となっている総務省の所管事業は郵政、通信、放送など許認可事業が多いうえ、大半の分野で厳しい参入規制が設けられている。
これが総務官僚と参入業者の「なれ合い」を生む土壌となった。総務省が国家公務員倫理規定違反と認定した78件の会食のうち、53件はNTTグループの接待。総務省と参入業者のいびつな関係がわかる。
第三者委もこうした総務省の体質を、「会食の積み重ねや長い付き合いにより、職員と事業者との間でなれ合い意識やムラ社会が醸成されていく」「アポイントなしの面会、携帯電話といった簡便な手段で事業者と重要なやり取りをするような行為が当然のように行われてしまう」と、手厳しく批判している。
こうした第三者委の報告の文面を読むと、どれだけ厳しい処分が下されたのかと思うが、処分は「会食」という、ある意味「形式犯」ともいえる部分に限定してのもの。東北新社のBS4K放送をめぐり「行政を歪めたとの指摘は免れない」と「断罪」された井幡課長らについても、本人が否定していることを理由に、この点についての処分は見送られた。
武田良太総務相は再発防止の徹底を口では強調しているが、井幡課長をはじめとして、組織と個人の保身のため真相究明に協力しない職員が多かったことには、お咎(とが)めなし。これでは「信頼回復」のかけ声もむなしく響くばかりだ。
「接待漬け」で麻痺した総務省職員の意識改革の道は遠そうだ。(ジャーナリスト 白井俊郎)