トヨタ自動車、グーグル、ソニー......。コロナ禍の転職先として人気なのは、「安定」していて「将来性」ある企業であることが、人材サービス大手のパーソルキャリアの調査で浮き彫りになった。同社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」が2021年6月7日、「転職人気企業ランキング 2021年」を発表した。
トヨタ自動車が前年に続き首位になるなど、新型コロナウイルスの影響で経済の停滞が続くなか、「安定」や「将来性」で評価が高いグローバル企業や、各業界を代表する大手企業が数多くランクイン。上位の顔ぶれは前年、2年前とほとんど変わらないなか、任天堂が前年の15位から8位とトップ10入りした躍進ぶりが目を引いた。
業界を代表する大手企業がズラリ
トヨタ自動車は、今年1月に発表した2020年の販売台数(ダイハツ工業と日野自動車を含むグループ販売台数)が前年比マイナスだったものの、独フォルクスワーゲン(VW)グループを上回り、5年ぶりに世界一の座についたことで評価が高まり、転職人気企業ランキングで前年に続き首位。投票ポイントは、前年の4605ポイントから5327ポイントに大幅アップし、2位以下を大きく引き離した。
1位のトヨタから、2位・グーグル、3位・ソニー、4位・楽天までは顔ぶれも順位も前年と同じだった。5位以下は下の表のとおり。
前年から順位の変動はあったが、グローバル企業や各業界を代表する大手企業が並んだ。パーソルキャリアによると、「コロナ禍の影響で雇用が不安定になったことから、安心や安定、将来性を求める意見が多く集まった」という。
コロナ禍のなか、人々の生活様式の変化が、転職人気にも表れた。その代表が任天堂の躍進だ。前年15位から7位と8つ順位を上げた。同社は2020年の15位も、前年30位からのジャンプアップで転職人気の急上昇が続いている。
任天堂は20年3月20日に発売したゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」が大ヒット。コロナ禍の外出自粛の中で販売好調が続き、21年3月期連結決算では12年ぶりに過去最高益を更新した。
コロナ禍「転職先選び変わった」31.1%
コロナ禍の中では、テレワークの導入やオンラインサービスの利用が拡大。企業のIT化が加速しており、その担い手となるIT・通信系企業の転職人気がジワリと上がってきている。
パーソルキャリアによると、総合ランキング300社のうちIT・通信は19社で、うち6社が前年圏外からランクインした。大手のシステムインテグレーターだけでなく、クラウドサービスを提供する新興企業もあるという。
2021年の調査では、「新型コロナウイルスの感染拡大を機に、転職したい(働いてみたい)企業を選ぶ理由は変化したか?」という問いに、全体の31.1%が「変化した」と回答。年代別(20代・30代・40代以上)では「変わった」と答えたのは、20代が37.9%で最多。男女別では男性(29.8%)より女性(33.6%)のほうが多く、特に「20代女性」では、39.6%と約4割が「(企業を選ぶ理由が)変わった」と答えた。
なお調査は、2021年2月10日~16日に、全国の22~59歳の正社員の男女を対象に実施。回答者が転職を希望する企業を自由形式で1~ 3位まで記入。持ち点10ポイントの中から、それぞれの企業への行きたい度合いに応じて自由にポイントを振り分けて投票してもらった。有効回答者数は5003人。