新型コロナウイルスの感染拡大で非接触化やテレワークの導入が広がるなか、企業にとって有効なコロナ対策の一つであるDX(デジタルトランスフォーメーション)化が「できている」かどうかを聞いたところ、「できていない」と答えた人はは全体の51.3%で過半数を超え、「できている」(17.4%)との回答を大きく上回った。
求人情報サービス大手、ディップ株式会社が企業の担当者ら1000人を対象に、「DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスの導入に関する状況」を調査した。
DX人材不足が壁に
調査によると、DX化の状況を企業の規模別でみると、「できていない」とする割合は、中小企業(従業員300人未満)で59.4%(回答者500人)、大企業(同300人以上)では43.2%(同500人)だった。
さらに詳細をみるため、(1)中小企業の営業部門(2)中小企業の管理部門(3)大企業の営業部門(4)大企業の管理部門――と4つにセグメント化して分析したところ、「できていない」と答えた人は中小企業の営業部門で67.6%、中小企業の管理部門で51.2%、大企業の営業部門46.0%、大企業の管理部門の40.4%となった。
「DX化ができていない」のは、大企業よりも中小企業、管理部門よりも営業部門が多い結果となった。中小企業の営業部門では3人に2人以上が「できていない」と感じている。
「DX化ができていない」とことは、デジタルツールの導入がはかばかしくないということだが、調査でその理由を聞くと、最も多かったのは「ツール導入後の明確なビジョンを描けていないから」(15.7%)で、次いで、「デジタル活用に長けた人材が不足しているから」(15.5%)、「どのツールが良いのかわからないから」(14.7%)との答えが多かった。
この結果に、ディップはて「『デジタルツールへの理解が深い人材』、『導入に向けて推進する人材』、いわゆる『DX人材』が不足していることが大きな導入の壁となっていることが示された」と分析。「少子高齢化による労働力不足が深刻化する日本ではDX推進が急務でありながら、多くの企業でDX人材の不足が顕在化している」現状を指摘した。
なお調査は、2021年4月2日~5日に、実全国の従業員規模が50人以上の企業に所属する22~69歳の男女社員を対象に実施。1000人から有効回答を得た。5月28日の発表。