「まったく別の地平から見た言葉、通じません」
丸川珠代五輪担当相も6月4日の記者会見で、こう述べた。
「我々はスポーツの持つ力を信じて今までやってきました。まったく別の地平から見てきた言葉を、そのまま言ってもなかなか通じづらいというのは私の実感です。(感染防止に)できる対策は何かということに懸命に取り組んでいます。一つひとつの積み重ねが、本格的に社会を動かしていく時の知見になると思います」
「まったく別の地平から見てきた言葉」という、わかったようでよくわからない言葉で報道陣を煙に巻いた。「別の地平」はすぐにトレンドワードに入った。
尾身会長と「二人三脚」でコロナ対策にあたってきたと自認する、盟友の西村康稔経済再生担当相は、6月3日放送のTBS系情報番組「ひるおび!」に出演、こう語った。
「尾身先生とは毎日話しているが、尾身先生がおっしゃっているのは医療の問題だと思います。コロナ対応や、一般治療に加え、五輪を開催すると熱中症やケガの治療など二重、三重の負荷がかかることを言っているのでしょう。(その対策としては)医療に負荷をかけないためには重症者を出さないこと。ワクチン接種を進めればこれを大幅に減らすことができます」
と、東京五輪の医療問題を熱中症とケガに矮小化。尾身氏が指摘していた五輪開催によって世界中から変異ウイルスが流入する危険性をスルーした。
こうした政府幹部たちの姿勢の背景には、専門家を「ご都合」主義で利用するだけ利用して、批判を一切許さない菅義偉政権の体質がある。