外食店の「二の舞」になる......
各百貨店は感染予防に力を入れ、店の入り口ではサーモグラフィーを使ってお客の検温を実施したりしており、大きなコストもかけている。
「都は人流を減らしたいというが、しっかり感染対策をしている店の営業を止めることがどれだけ効果があるのかはわからない。小売業や外食業が犠牲になっているのではないか」
という根強い不満は消えない。
都に対する不信感が強いのは「生活必需品は何であり、豪奢品は何であるのか、という基準を示してくれない」(百貨店関係者)ということも大きく影響している。
泣く泣く営業を控えている百貨店に対して明確な基準を示さないなど、東京都の説明不足が百貨店を苛立たせているといえる。
6月から制限が緩和され、多くの百貨店は「臨時休業」の看板を外した。だが、書き入れ時とも言える土日は引き続き「生活必需品のみ」の限定的な営業を求められている。「生活必需品」の基準が何かという疑問は解消されないまま残されている。
東京都への疑念が消えないなか、外食業の閉店や倒産が相次ぐ事態を見るある百貨店関係者は、
「私たちだってどこまで絶えられるかわからない」
と、不安な表情で話した。
(ジャーナリスト 済田経夫)