初めてのお客は店に来させ、常連は注文を増やす撮り方
J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、日本政策金融公庫生活衛生融資部の担当者に取材した。
「公庫の生活衛生融資部では、飲食店や理容、ホテルなど16の業種に融資していますが、新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店が一番苦しんでいます。飲食店を支援する立場として、なんとか助けてあげたいと、昨年から企画を詰めてきました。いま、SNSでお店の料理の写真を公開して、売上につなげたいという店が多いですが、キレイな料理の写真を撮ったからといって、必ずしも売り上げ向上とはいきません」
そこで考えたコンセプトが、内容が読み物としておもしろい、写真がキレイというものではなく、徹底的にお店の商売に役に立つ、具体的なアドバイスを盛り込むこと。つまり、人生がかかっている飲食店の人々の助けになる実践本だった。
「たとえば、初めてのお客さん向けには、お店に来たくなるような美味しく見える料理の撮り方を。つまり新規客数のアップを目指す撮り方ですね。2度目以降のお客さんには、注文単価のアップと注文数のアップを目指します。
そのためには、料理の高級感を出したうえで、小鉢類をつけて、『ついで注文』をしたくなる撮り方が必要です。お客さんに応じて攻め方を変えていくのです。また、写真を撮る際の立ち位置も載せてわかりやすく紹介しました」
と、非常に芸が細かいのだ。
実際に写真撮影を指導したり、売上アップのアドバイスに当たったりしたのは、映像を活用したプロモーション改善を手掛ける「フォト・パートナーズ」の社長で、中小企業診断士でもある石田紀彦さん。日本大学芸術学部写真学科で腕を磨いたプロカメラマンでもある。石田さんのお弟子も撮影に協力した。
石田紀彦さんは、冊子の中でこう語っている。
「写真はあなたの想いを伝えるための手段に過ぎません。あなたが写真を通じて伝えたいことは何なのか、撮影を始める前に『想い』を決めましょう。その考えることはたった1つです。写真を通して『誰に』『何を』伝えたいのか。その『想い』があって、初めて『思ったように写真が撮れる』のですす」
(福田和郎)