「みなさまのNHK」が公共放送らしくない振る舞いに出ようとしている。
受信料をとるために、なんと「宛て名のない」郵便を片っ端から送ろうというのだ。
いったい、どういうつもりなのか。
ネット上では、
「誰かれかまわず一方的に文書を送りつけるとは、傲慢だ」
「特殊詐欺に悪用されてもいいのか」
と、怒りの声があがっている。
住所があれば誰がいてもいなくても届く郵便
インターネット上で、NHKによる「受信料徴収の無差別郵便爆弾作戦」という批判の声が上がっている、今回の「宛て名なしの郵便配達」制度とはどういうものなのか――。
朝日新聞(2021年6月3日付)「日本郵便、氏名なくても配達 NHK受信料徴収に活用」が、こう説明する。
「日本郵便は、宛先の氏名が不明でも住所だけで郵便物を配達するサービス『特別あて所配達郵便』を6月21日から試行導入する。現在は氏名が記されていない郵便物は原則、差出人に返送しているが、NHKの受信料の徴収業務への活用を想定して導入する。武田良太総務相が(昨秋に)NHKと日本郵便に連携を提言していたことを受けて始める」
「特別あて所配達」は、誰が住んでいるのか、あるいは住んでいないのかがわからなくても、住所だけで文書を送ることができる新しいシステムだ。
日本郵便の公式サイトによると、試行期間は来年(2022年)6月20日までの1年間。定形郵便物とはがきが対象で、通常の料金(25グラム以内84円)に200円上乗せする。年間1千通以上の発送などの条件がある。外装に「特別あて所配達」「転送不要」などの文字を明記し、わかりやすくする=下図参照。
NHKはホームページに受信料の不払い世帯がどれだけいるかを公開しているが、最新の2019年データによると、全国の推計世帯支払率は81.8%だ。約2割が受信料を支払っていないことになる。
NHKは2019年度、受信料徴収などの営業経費に759億円を支出。このうち約300億円が未契約世帯の訪問にかかる費用だった。新型コロナウイルスの影響や苦情などもあり、訪問によらない営業活動を図っている。
NHKの前田晃伸会長は6月3日の定例会見で、この「宛て名のない郵便物」をどう活用するか、こう述べた。
「どのような文書を送るかは検討中だ。反応を見ながら費用対効果を検証して、訪問によらない営業活動の一部の補完にあてたい。今までのように、ものすごい数の文書を(営業員が)限りなく配る方式から、精度が高いものにしたい」
と話し、まずは都心部の大規模郵便局の管内から始めるという。