国土交通省などが自動車の衝突安全と予防安全、事故時の自動緊急通報の総合安全性能を評価する「自動車アセスメント」(2020年度)で、SUBARU(スバル)の新型ステーションワゴン「レヴォーグ」が最高点(ファイブスター大賞)を獲得した。
2位はトヨタ自動車の中型SUV(多目的スポーツ車)「ハリアー」、3位は日産自動車の軽「デイズ」とトヨタの小型SUV「ヤリスクロス」が並んだ。
新たな基準に「事故時の自動緊急通報」
スバルのレヴォーグは2020年度の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」に続き、自動車アセスメントの頂点となる「ファイブスター大賞」を受賞した。
自動車アセスメントは国交省と独立行政法人「自動車事故対策機構」が1995年度から毎年、販売台数の多い車種を中心に自動車の安全性能に関する試験を行い、その結果をユーザーに公表している。
2020年度は、この年度発売の新車を中心に軽自動車4車種と登録車(排気量660cc超)6車種の10車種が対象となった。
19年度までは衝突安全(フルラップ前面衝突など7項目)と予防安全(衝突時被害軽減ブレーキなど7項目)を評価していたが、20年度からは衝突安全と予防安全のほか、新たに「事故時の自動緊急通報」が加わり、これら3つの性能を総合的に評価することになった。
その結果、最高得点となったレヴォーグは、衝突安全が100点満点中96.91点、予防安全が82点の満点、事故時の自動緊急通報(8点満点)も満点で、総合評価は190点満点中186.91点で、得点率は98%(100点満点の98点)だった。
2位はトヨタハリアーで93点。3位は日産デイズとトヨタヤリスクロスで92点、4位はホンダフイットとトヨタヤリスの91点で、この上位6車種が最高ランクのファイブスター賞(190点満点中151.03点以上の★★★★★=五つ星)となった。この中でも最高位のレヴォーグはファイブスター大賞となった。
残る4台は日産キックスの90点、三菱eKワゴン・eKクロスの88点、ダイハツタフトの85点、スズキハスラーの77点で、いずれも星は四つ(同119.81点以上の★★★★=四つ星)にとどまった。
実験の動画をユーチューブで公開
事故が起きた場合、コールセンターなどに自動的に通報する自動緊急通報装置は、現状で軽自動車に標準装備するケースは少ない。このため、軽自動車で搭載済みの日産デイズの評価は高く、未搭載のeKワゴン・eKクロス、タフト、ハスラーの評価が低くなった。
最高点のファイブスター大賞となったレヴォーグは、スバル自慢の運転支援システムが最新の「アイサイトX」となり、人工衛星の位置情報で車両を制御するなど、安全性が一段と向上。2016年に世界で最初にスバルインプレッサが採用した歩行者用エアバッグを搭載するなど、安全装備が乗員だけでなく、歩行者保護にも広がった。
新型レヴォーグの開発責任者でスバル商品企画本部の五島賢氏は大賞の受賞式で、
「スバルは安心と楽しさをお客様への提供価値と考えている。2030年にスバル車がかかわる死亡事故をゼロにする目標を掲げており、その実現に向けた技術のいくつかは、今回のレヴォーグが基本になると考えている」
と語った。
五島氏はエアバッグ開発のエンジニアで、「新型レヴォーグにはエアバッグを合計8個搭載している」など、最新の安全装備についても説明した。
実際にテストを行った自動車事故対策機構は、今回の10車種それぞれの実験の動画をユーチューブで公開している(レヴォーグは、こちら)。正面から壁面に衝突する「フルラップ前面衝突」、運転席か助手席のみ衝突する「オフセット前面衝突」、「側面衝突」、街灯のない夜間に歩行者が路上に飛び出した場合の「衝突被害軽減ブレーキ」などの動画は必見ものだ。各車の映像と総合評価の得点を比較すれば、ユーザーが自動車を購入する際の参考となるだろう。(ジャーナリスト 済田経夫)