「政府寄りの学者の集まり」が立ち上がった
このように外部の専門家からは「政府寄りで、ウイルスの専門家が集まっていない」とまで評される政府の分科会やアドバイザリーボードの人たちが良心の声をあげた。
毎日新聞(6月3日付)「社説:五輪のリスク評価 分科会の意見聞くべきだ」は、政府はこの人たちの声を聞け!と訴えている。
「組織委員会や東京都、政府は、これまできちんと(東京五輪の科学に基づく綿密なリスク評価に)取り組んでこなかった。開催すると感染者がどれほど増加し、医療にどの程度負荷がかかるか。東京から世界に新たな感染を広げるリスクはどうか。中止と判断すべき条件は何か。専門チームを設置し、さまざまな観点から分析・評価することが不可欠だ。にもかかわらず、『安全安心』と繰り返すだけだ」
そして、こう結ぶのだった。
「政府は、内閣官房に感染症の専門家2人が入っていることを理由に、『専門家の意見を聞いている』と主張する。しかし、大会を推進する利害関係者だ。頼みの綱は政府の『新型コロナ感染症対策分科会』だ。有志が提言作成を進めている。問題は、政府から依頼がなく、公表の機会がないことだ。菅義偉首相は『国民の命と健康より五輪を優先することはない』と述べた。もはや様子を見ている段階ではない」
ネット上では、今回の政府の専門家会議の「反乱」にアツい期待を送る声が多い。
「専門家としての責任を果たそうとする勇気ある発言だ。政府はまったく開催する意義を説明しようとしないが、信念がないので説明する内容もないと推察される。これほどまでに芯がない政府、総理大臣があっただろうか。あるにはあったのだろうが、平時にはそれほど露呈しなかったのかもしれない」
「遅すぎますが、国民はこれを待っていました。科学的見地から、ぜひ忖度と思惑のない事実を明らかにしてください」
「政府の専門家会議なんて、常識的に考えて政府の意見を追認するためにある組織だから、メンバーも御用学者といわれる人々で固められているのが普通と思える。その専門家たちが、これだけ口を揃えて政府の意思に反する意見を主張するのは異常事態。相当の覚悟を持っている。五輪開催を強行することは、医学的見地からすればあり得ないほど危険な行為なのだという証拠だ。しかし、菅総理は馬耳東風だろう。とても残念だ」
「五輪が危険なのは、専門家でなくても容易に想像がつく。いい例が現在の北海道と沖縄の感染爆発。北海道は、五輪のテストマラソン実施の結果。沖縄はゴールデンウィークの県外からの人の流入が原因。五輪では、海外からケタ違いの人が動く。日本中が沖縄や北海道になると思う」
「政府だけでなく、五輪組織委、五輪のスポンサー企業にも、できる・できないではなく、『なぜIOCに対して中止の提言をできないのか』を明確かつ丁寧に説明していただきたい。スポンサーのトヨタ自動車の豊田章男社長が会長を務める日本自動車工業会は、早々と4月に今秋のモーターショー開催の取り止めを発表していましたよね」
(福田和郎)