5分間でウイルス99.9%低減
桂川有加係長によると、関西ペイントが漆喰に注目したのは2006年。「当初から、漆喰が持つ抗菌・抗ウイルス機能について着目していた。一方で左官職人さんの減少、施工工数の多さを解決するべく、簡単に刷毛やローラーで塗装できるよう漆喰を塗料化できないか、との発想から検討を開始し、2008年に漆喰塗料を発売した。当時は抗ウイルス機能よりも注目されていたのが消臭性。室内に塗れば漆喰壁に囲まれた蔵の中と同様に臭いのない空間ができ上がる。顧客にはその点を訴求し、販売を続けてきた」という。
またこの機能(技術)を建築塗装だけではなく、もっと手軽に使えるようにさまざまな素材(紙、フィルム、繊維など)に塗装可能な塗料タイプも開発すべきであると判断したという。その時期にSARSやMARSなどの感染症も発生し、漆喰塗料がどんなウイルスにも効果があるのかを確認する必要があると考え、長崎大学感染症共同研究拠点の安田二朗教授との共同研究を開始。ノロウイルスのようにアルコール消毒にも耐え得るウイルスやインフルエンザなどのさまざまなウイルスでの評価を実施し、いずれも感染力を低減する力を有することを確認してきた。
さらには、新型コロナウイルスに対する効果を確認する実験も昨年度に実施。その結果によると、新型コロナウイルスは漆喰塗料の塗膜にと5分間接触すると、わずか5分で99.97%ウイルスの感染力を低下させることが確認できたという。「飛沫をイメージいただけるとわかりやすいが、ウイルスは水分と共に存在する。ウイルスが漆喰に付着するとその水分が漆喰の主成分でアルカリ性を有する消石灰を溶解させ、そのアルカリ性によりウイルスが変形して健康な細胞に侵入(増殖)できなくなる」(岩崎副本部長)
桂川係長は、
「5分間でウイルスが99.9%低減する素材はほかにはありません」
と胸を張る。
ちなみに、他の抗ウイルス商材のウイルス感染力を低減する時間は「2時間必要なものが多い」そうだ。