「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。
「週刊東洋経済」(2021年6月5日号)は、「最新序列と激変するビジネス 商社大転換」という特集を組んでいる。5大商社のトップインタビューのほか、三菱商事では「脱炭素」、伊藤忠商事では「デジタル化」、三井物産では「宇宙」というテーマで、商社の変化をリポートしている。
初の商社トップに浮上した伊藤忠商事
冒頭で、5月下旬に出そろった5大商社の2021年3月期決算で明暗が分かれたことを指摘している。
業界の盟主と言われた三菱商事は、豪州原料炭事業の不振やローソンの減益などで純利益1725億円と前年同期比7割弱の大幅減となり、4番手に陥落した。住友商事はアフリカのニッケル鉱山をはじめとする複数大型案件の減損損失で、過去最大となる1530億円の最終赤字に転落。一方、かつて万年4位といわれた伊藤忠商事が純利益と時価総額で初の商社トップに浮上。序列が大きく変わった、としている。
商社はこれまでトレーディングから事業投資へ、そして資源から非資源へと転換を進めてきたが、3度目の大転換はあるのか、と商社ビジネスの最前線を追う内容だ。
純利益、株価、時価総額の3つで商社トップになる「3冠」を達成した伊藤忠商事の岡藤正広会長CEOのインタビューがめっぽうオモシロイ。業界トップになった今こそ、気を引き締めなければならないという。
「業績がよくなると、すぐ慢心してずっこけるのが伊藤忠。財閥系へのコンプレックスから、何の戦略もなしにイケイケどんどんでやって失敗することの連続や」
次の投資先を尋ねられ、「考えはあるけど、言われへん。今タイミングを待っている」とはぐらかした。さらに、「やっぱり日本がいちばんやりやすいわ。なんかグローバルが大事みたいなこと言うとるけど、どこで儲けようとカネは一緒やろ。日本でビジネスモデルを固めて、その延長線上で海外をやるのがええ」と、国内ビジネスへの関心を語っている。
その伊藤忠商事に関するリポートでは、ファミリーマートへの巨額投資で非上場化し、再生を図る戦略を深掘りしている。そのカギとなるのが「デジタル化」だ。
1日1500万人の顧客が訪れるファミマ店舗をデータ収集と活用の基盤とする。ファミマを用いての新たな収入源として期待されるのが、広告と金融の領域だ。しかし、新規事業も「ファミマの本業がおぼつかないのでは絵に描いた餅にすぎない」とし、「単なる商品供給以上の機能をいかに発揮するか、伊藤忠の底力が試されている」と結んでいる。