今年(2021年)は、2月に米電気自動車メーカーのテスラがビットコインを購入してから、仮想通貨は非常に多くの人の注目を集めることとなりました。
特に米テスラのCEO(経営最高責任者)であるイーロン・マスク氏が、たびたびドージコインに関してツイートしたことから、時価総額は一時9兆円にまで上昇。年初来では100倍にもなるほどの上昇を演じることとなりました。
今回は、そんなイーロン・マスク氏と仮想通貨の話題を振り返ってみたいと思います。
それはドージコインのコミュニティの冗談から始まった
イーロン・マスク氏といえば、ドージコイン(ドージ〈犬〉をモチーフにつくられたビットコインを模倣したコイン)の印象が強い人が多いのではないでしょうか。
じつは、マスク氏とドージコインのかかわりは2019年にまで遡ります。その年のエイプリルフールに、イーロン・マスク氏はツイッターで「一番気に入っている仮想通貨はドージコインかもしれない。結構クールなんだ」と発信。これを見たのか、ドージコインの公式アカウントがおもしろがって、「次のCEOは誰になるべきか」(※ そもそもドージコインにCEOという役職はない)を問う投票を実施しました。
その結果、イーロン・マスク氏が1番になりました。そしてマスク氏は、自身のツイッターアカウントのプロフィールを「ドージコインのCEO」に変更したのです。
なお、2020年12月にツイッターでビットコインの購入についてマイクロストラテジー社のCEOとやり取りの際には、ドージコインの「元CEO」としていました。
◆ テスラ社がビットコインの購入
2月8日に、イーロン・マスク氏がCEOを務める米テスラが15億ドル(約1575億円)ものビットコインを購入したこと報道されました。
関連記事:「あのテスラが15億ドルものビットコインを購入した!(ひろぴー)」(J-CASTニュース 会社ウォッチ 2021年2月21日付)
2月のテスラは時価総額で70兆円を超えており、当時アメリカの上場企業トップ10どころか、イーロン・マスク氏が世界一の資産家となった頃でもあります。そんなテスラがビットコインの購入に踏み切ったのですから、全世界が衝撃を受けるのも頷けます。
また、マスク氏のツイッターのフォロワー数が4000万人を超えるほどの影響力を持っていることも、仮想通貨の盛り上がりに拍車を掛けたといっても過言ではないでしょう。
◆ サタデー・ナイト・ライブに出演「ドージコインは詐欺」
5月8日、アメリカの人気バラエティー番組「サタデー・ナイト・ライブ」に、イーロン・マスク氏が出演しました。この時に、仮想通貨投資家は「ドージコインのことを持てはやすのではないか」という期待感を持っており、価格は大きく上昇!
一時、その時価総額は9兆円を超えるほどとなり、5番目に大きな仮想通貨となりました。
●ドージコインのチャート
しかし、番組に出演したマスク氏は大衆の期待を裏切り、「ドージコインは詐欺」だと発言。価格は大暴落するに至りました。
火をつけたのも消したのもイーロン・マスク氏
◆ ビットコインは環境に良くない! テスラのビットコイン決済は中止
イーロン・マスク氏は、まだまだ相場に影響を与える発言をします。5月12日には、ビットコインのマイニングは環境に良くないので、すでに決まっていたテスラの購入をビットコインでも可能とするサービスを中止すると発表したのです。
これに驚いた投資家は、ビットコインを売りに走りました。もしかすると、テスラが保有する大量のビットコインも売却される可能性があると考えたからです。
●ビットコインのチャート
その結果、ビットコインは600万円台から一時300万円台前半まで急落。年初からの上昇相場を大きく崩す展開となったのです。 ビットコインを含め、仮想通貨の維持のための電気代は全世界の1%を占めているとされています。「エコではない」という意見はもっともだと思いますが、それが果たして従来産業と比較してどれほど環境に悪いのかという点に関しては、まだまだ議論の余地があるでしょう。
さて、ビットコインをはじめ多くの仮想通貨の価格は大きく下落してしまいました。下落の最中に、テスラが保有しているビットコインはまだ売却しないとの報道がありましたが、自らが招いた急落を止めることはできませんでした。
奇しくも、ビットコインはテスラが購入した価格と言われている350万円付近で反発。底打ちを見せつつあります。2020年末からのビットコイン相場は、火をつけたのも消したのもイーロン・マスク氏でした。
良くも悪くも、今や仮想通貨のメインプレイヤーとなっていますから、次の一挙手一投足に目が離せません。(ひろぴー)