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完全に「感染者ゼロ」まで抑え込むのが秘訣

ベトナムの市街地
ベトナムの市街地

   ニューズ・ウイーク日本語版(2021年5月4日号)「日本も見習うべき?コロナ封じ込み成功国ベトナムの第4波対策!」では、ベトナムが気に入って4年間住み続けている日本語教師のヨシヒロ・ミウラ氏が、ベトナムのコロナ対策の秘密を、こう記している。

「4月27日にベトナム北部のハナムで、日本から帰国したベトナム人からの新型コロナの感染が確認され、ベトナム各地で新型コロナ第4波封じ込み対策が始まっています。ニュースを聞いた時、またか...というがっかりした気持ちと、また頑張るか!という2つの気持ちが湧いてきました。日本と違い、今まで国内感染を4回封じ込めてきたベトナム。今回も封じ込みに成功すると予想しています」

   ミウラ氏は、この感染急拡大がハイブリッド変異株によるものと、まだ知らされていないのだった。

   ミウラ氏によると、ワクチンもなかったベトナムが、感染を抑えてこられた秘訣は、ひたすら新規感染者がゼロに近づくまで長期間耐えることだった。こう続ける。

「インド由来の変異種は感染力がさらに強く、致死率が高いと言われているので、さすがにベトナムの人々も今まで以上に封じ込みに真剣です。私のところにもハノイの学校がオンライン授業になることや、路上飲食店・カフェなどが営業一時中止になることがメッセンジャーアプリで流れてきました。不幸中の幸いは、5月からベトナムの学校は夏休みに入るので、学校の閉鎖やオンライン授業で悩む必要がないことです」

   今回の第4波封じ込み対策も、第1波、2波、3波と同じだった。ハノイの例で取り上げてみると、

(1)遺跡、宗教施設および路上営業の飲食店の一時休止。
(2)屋内の飲食店における顧客間の最低1メートルの間隔確保、または各座席に衝立の設置。
(3)市内の小中高校、幼稚園にオンライン授業を徹底するよう要請。
(4)連休中などに国内旅行をしてハノイに戻った人は、感染していないかどうかの医療申告を確実に実施すること。

などだ。このうち、日本の緊急事態宣言下で行わないケースは、(4)の旅行後の「医療申告」くらいだろう。それなのになぜベトナムは封じ込みに成功して来たのか。ミウラ氏は続ける。

「なぜベトナムができて、日本ができないのか? ベトナムの新型コロナ封じ込みにかかった日数は第1波が105日。105日かけて国内の感染者をゼロ(空港での検疫による感染者を除く)にまで完全に抑え込んだのです。だから、その後、第2波、第3波が来ても短期間で封じ込めたのです。日本では1回目の緊急事態宣言を感染者がゼロではないのに49日間でやめたことが、ベトナムとの圧倒的な差が生まれた原因だと考えています」

   そして、こう結ぶのだった。

「日本とベトナムは社会体制が違うから同じやり方は不可能だという方々は多いですが、私は国内感染者ゼロを目指し、政府と国民が協力してやってみる価値はあると考えています。ベトナム保健省はさきほど、今までのベトナム入国者の隔離期間14日を21日間に延長すると決めました。政府の変異株への新たな対応と思われます。日本もまずはいったんゼロを目標にすることが大事ではと、ベトナムでコロナ対策を経験して思います」

(福田和郎)

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