EVで再生する米デトロイト 欧州で加速するEVシフト
自動車産業が衰退し、「危険な街」として知られたデトロイトは、EV関連の産業で急速に再生しているという。巨大な廃墟になっていたミシガン・セントラル駅とその周辺の土地をフォードが買収し、自動運転・EVの先端研究拠点として活用する計画だ。
GMが買収したベンチャー「クルーズ」は、2020年1月、自動運転EVを発表。アプリを介して呼び出し、送迎可能な自動運転タクシーとして投入される予定だ。
アメリカのもう一つの自動車産業の中心地がシリコンバレー。テスラやIT企業が集まっている。水平分業モデルではなく垂直統合モデルにこだわるテスラの独自の技術的思想を紹介している。このほかにグーグルの子会社・ウェイモの自動運転技術への取り組み、部品メーカーから「自動運転システムサプライヤー」に転換したアプティブなども取り上げている。
シリコンバレーといっても、80キロメートルほどの長さがあり、エリアごとに業種も分かれ、インナーサークルに入らないと、いい情報は入らないという。日本の自動車メーカー、部品メーカーもシリコンバレーに進出したが、「日本のビジネス慣習に染まった企業にはなかなかハードルの高い世界」と書いている。
一方、欧州ではEVシフトが加速しそうだ。ブルームバーグの予測によれば、欧州でのEV販売台数は2019年の50万台弱から2030年には770万台に急増する見込み。米テスラもドイツ・ベルリン近郊に年間50万台を生産する工場を2021年7月に稼働させる予定だ。
フォルクスワーゲンは、2025年までに電動化を含む技術開発のために、860億ドル(約9兆4600億円)という巨費を投じ、2030年までに2600万台のEVが量産可能な体制を整えるという。
ベンツで知られるダイムラーは、ライバルのBMWとカーシェアリングや充電など複数の事業統合を2019年に発表。本格的なMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス=デジタルを活用し、交通における移動を個別のサービスとして提供すること)に取り組んでいる。
このほかに、ボッシュ、コンチネンタル、ZFなど大手部品メーカーの動きを紹介している。そして、カギを握るのは「コネクテッド」。データをめぐる争いになると予想している。