「売りは早かれ、買いは遅かれ」という相場格言がある。
日本証券業協会の相場格言集によると、
「買い場は随所にあるが、売り場は短い。それだけに買いはじっくり構えたほうがかえって安く買えることもあるが、売りのほうは一瞬のチャンスをつかむがごとく迅速に行動すべし」と説明している。
そういえば、お目当ての銘柄を買いそびれても、「またチャンスはあるだろう」と思えるのに、売りそびれると心穏やかではない。かなりショックだ。確かに、「売りは早かれ」である。
値下がり時の好決算企業を狙おうか......
日経平均株価は2021年2月16日に年初来高値を付けて以降、じわじわと値下がり。3か月経っても2万8000円~2万9000円あたりをうろうろしている。コロナ禍で景気の先行きが怪しいことや、頼みのワクチン接種がなかなか進まないことなどの原因はあるが、発表が終わった3月期決算の上場企業をみると、中には好調な業績を収めている企業もある。 株価の下落で、銘柄によっては「買い」を入れてもよさそうな銘柄がありそうだ。
そんなことで、買える銘柄を物色。注目したテーマは「再生可能エネルギー」だ。その中から、「レノバ」を調べてみた。
「レノバ」について、会社四季報(2021年2集春号)は「太陽光、バイオマス発電など再生可能エネルギーの発電事業と開発・運営事業が二本柱で、2020年にはバイオマス発電が稼働しはじめたという。
固定価格買取制度の追い風に乗り急成長した企業で、「洋上風力では秋田で総事業費4000億円規模の巨大プロジェクトに中心的に関与しており、東北電力などもこのプロジェクトに出資している」と書かれていた。
レノバの株価は、今年1月13日に上場来高値の4835円(2018年4月株式分割後、1株を2株に、100株を200株に分割。これまでの半額で買えるようになった)をつけたあと、3000円~3500円で調整中と見ている。
レノバ株の5月26日の終値は3485円。高値の半値にあたる2417円を基準に上下100円の幅(2317円~2517円近辺)を、買いのスタートにしたいと考えて、もう少し様子を見ることにした。
「再生可能エネルギー」の本命! 洋上風力発電
そんなレノバが、洋上風力にも興味を示しているという。
海上に建設する風力発電は、山などに遮られる心配がないため、非常に安定して発電することができる。陸上に風力発電所を建設する場所がなくなってきていることから、注目されている。
ちなみに洋上風力発電には、風車の軸(基礎)を海底に固定する「着床式」と、海上に浮かべた構造物の上に風車を乗せる方式「浮体式」の2種類があり、水深の深い日本では「着床式」だと設置コストがかかるため、不安定さはあるものの、「浮体式」に注目が集まっているようだ。
一方、政府が昨年12月15日に発表した「洋上風力産業ビジョン」によると、洋上風力発電で先行する欧州は、安定した偏西風と遠浅な海底という自然条件などに恵まれ、1990年代以降に洋上風力発電の大量導入が先行し、欧州域内で風車製造のサプライチェーンが形成されたとしている。
北欧と20年遅れといわれる日本。必要な技術を海外から導入し、日本で進化させることが求められている。
政府の従来の計画では、2030年度までに洋上風力発電の発電量を「82万キロワット」にする予定だったが、新たな目標では2030年までに1000万キロワット、そして2040年までに3000万~4500万キロワットまで拡大することを目指すとしている。
菅義偉首相は昨年10月、2050年の「CO2ゼロ」を宣言。今年4月22日には、2030年までのCO2の削減目標を13年度比で46%減とする新たな目標を発表した。とにかく、原子力発電が動かせない以上、再生可能エネルギーを前進させなければ、目標は達成できない。
株価を見ても、このコロナ禍の先行き不透明感が漂う中で、そうそう「爆上げ」は考えづらい。最近の日経平均株価の動きも気にかかる。ここはじっくりと構えたい。(石井治彦)
【レノバ(9519)】
年初来高値 2021年1月13日 4835円
年初来安値 2021年3月11日 2924円
直近 終値 2021年5月28日 3595円
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