日本が中国の属国にならない唯一の方法とは?

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「脱炭素」で中国をけん制せよ

   今後、日本は人口減少、低成長と明るい未来を展望できそうにない。巨大な存在となった中国に対して、どうしたらいいのか――。加谷さんは「脱炭素」という動きが中国をけん制する強力な武器になる、と指摘している。

   脱炭素シフトは国家間の覇権争いになっているのに、日本はそれを十分に理解できず、そのカードを十分に使えない可能性も高いと危惧する。

   最終章で、加谷さんは、ここ10年の「嫌中論」の台頭を批判。「幼稚な嫌中論は、中国の台頭がまだ先のことであるという願望を前提にした、ある種の『ままごと』であったと考えてよいでしょう」と斬っている。

   それでは、どう中国と対峙すればいいのか?

   短期的に有効なのは米国との協調だとする。脱炭素とリンクした国際金融システムを米国と協調して創出できれば、中国に対して大きなけん制球になるとみている。

   中国の経済圏に入り込んでしまうという戦略もあるが、「日本は経済活動の多くを中国にコントロールされてしまいますから、場合によっては中国の属国のような地位に転落してしまう可能性も否定できないのです」と書いている。本書のタイトルはここに由縁する。

   では、中国との距離を保つ方法はないのか?

   輸出によって経済を成り立たせる産業構造から脱却し、完全に消費主導経済にシフトすることだ。基本的な経済活動は自国内で完結するから、中国との利害関係を最小限に食い止めることができる。

   その際、ネックになるのが「モノづくり大国」という日本国民のマインドだという。そして、貧困をできるだけ減らし、国民が高いITスキルを身につけ、積極的にお金を使う消費主導型経済にすることだ。

   「高度で豊かな消費社会を作るという目の前の努力をしっかりと積み重ねれば、それこそが、もっとも効果的な対中戦略となるはずです」と結んでいる。

「中国経済の属国ニッポン」
加谷珪一著
幻冬舎
926円(税込)

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