「朝礼なんて怖くない!」 話のネタ本が教えてくれる朝礼の構成法【5月の特集 朝礼のネタ本はこれだ!】

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   会社で朝礼があり、毎日何かを話さなければならない役職者にとって、ネタ探しは大変だろう。そんな人のために、5月は「朝礼のネタ本」を随時紹介していきたい。

   1冊がまるごと朝礼のネタで構成された「朝礼本」も各社から、さまざま出ている。その中から本書「元気が出る朝礼 話のネタ帳」に注目した。

   「どんな職場でも、そのまま話せる、やる気を引き出す200の話材集」と銘打っている。1ページに1話が収められている。実際、声に出して読んでみると、1話が1分15秒程度の長さだ。朝礼は1分程度という職場が多いようなので、丸暗記すれば、とりあえず200回分は使える。だが、それだけではもったいないので、本書を教材にして、オリジナルの朝礼ネタを作る方法を考えてみたい。

「元気が出る朝礼 話のネタ帳」(本郷陽二著)アニモ出版
  • 「きょうも一日頑張るぞ!」と思えるような朝礼にしよう!
    「きょうも一日頑張るぞ!」と思えるような朝礼にしよう!
  • 「きょうも一日頑張るぞ!」と思えるような朝礼にしよう!

「きょうも一日頑張るぞ!」と思えるような朝礼に

   著者の本郷陽二さんは、光文社カッパブックス編集部を経て、編集企画プロダクションを設立。ビジネスや歴史、言語関係など幅広い分野で執筆している。著書に45万部を超えるベストセラーになった「頭がいい人の敬語の使い方」(日本文芸社)や「上流の日本語」(朝日新聞出版)などのほか、「1分で決める!朝礼の話材217」「どこでも使える!朝礼の話のタネ」(いずれもアニモ出版)など朝礼に関するものも多い。

   そんな本郷さんだから、朝礼についても一家言ある。朝礼の目的について、こう書いている。

「一日のスタートを意識させて仕事のスイッチをオンにする、メンバー間のコミュニケーションを円滑にする、仕事の意識・意欲を高める、予定や連絡事項を共有する、行動目標を明確にして一人ひとりのやる気を引き出すなど、いろいろな目的があります」

何を話すかによって、その日一日の職場の雰囲気を左右するほど大切なものだから、

「叱咤激励や説教に終始したり、受け売りのうんちくを披露する場になってはいけません」

と戒める。

   朝礼後に「きょうも一日頑張るぞ!」と思えるような「元気が出る朝礼」「気持ちが前向きになる朝礼」になるよう説いている。

   本書の章立てを見ると、それにふさわしい朝礼のネタのジャンルがわかる。「やる気が出て、元気になる話」「『なるほどね』と感心される話」「自己研鑽、意識向上につながる話」「コミュニケーションを円滑にする話」「覚えておくと得する話」「経営の先達の名言に学ぶ」「アスリートに学ぶ、いい話のネタ」「ドラマとアニメに学ぶ、話の引き出し」の8つのジャンルがある。

朝礼1話は3つのパートで

   1話分をまるまる引用するわけにはいかないので、一つのネタからどう話を組み立てているかを見てみたい。

   「過去の自分よりも、成長した自分を信じましょう」というタイトルの話がある。「私が新人のころ、商談に失敗して落ち込んでいると、先輩がケンタッキー・フライド・チキンをおごってくれました。みなさんは、創業者のカーネル・サンダース氏が、レシピの売り込みを1000回以上失敗したのを知っていますか」と切り出す。有名人の失敗談は、関心を引き付けるネタだ。

   「カーネル・サンダース氏を見習って、1000回失敗しても挑め」と先輩は叱ったわけではなく、「どういうトークをしたら失敗するのかという知識を今は持っている。だから、次はきっと成功する」と励ましてくれたという。

   そして、「過去の自分とは違う、成長した自分を信じようと考えたら、次は成功するような気がしてきました。そのとき知ったポジティブさこそが私の原動力です。みなさんもプラス思考を忘れないでください」と結んでいる。

   この話に限らず、本書で紹介しているネタはだいたい以下の3つのパートからなるようだ。構造は簡単だ。

1 エピソードの披露
2 エピソードの展開
3 自分なりに教訓化して決意を述べる

   これで文字にすると、33字×16行=528字、約1分15秒程度のスピーチになる。

   なんでもエピソードのネタになるものだ、と感心した。たとえば「割れ窓理論」についてお話ししたい、と切り出す。これは窓を割れたままにしておくと、犯罪が起きやすくなるので、小さな犯罪を徹底して取り締まることで、凶悪犯罪の発生率を抑えられるという犯罪抑止論の考え方だ。

   ここから、ディズニーランドやディズニーシーへと話を展開する。ちょっとした施設の傷や傷みも見逃さず、こまめに補修。また、小さなゴミひとつ落ちていない状態に徹底することで、スタッフだけでなく、来場者のマナー向上にも役立っている、と話をつなげる。

   最後に、「これは私たちの仕事にもあてはまる」として、一人が机の上を散らかすと、周囲もどんどんルーズになるので、一人ひとりが、「自分くらい」「ちょっとくらい」と考えず、「一仕事一片づけ(一つの仕事をしたら一回片づける)を心がけましょう」と教訓化している。

   漫画「ワンピース」や「ドラえもん」も本書では、話のネタになっている。ネタ本に頼らず、自分の趣味や読んでいる本、漫画などから、何かネタにならないか、と日々考えることで、おもしろい朝礼ができるようになるだろう。

   ネタ本を丸暗記するのではなく、自分なりにアレンジすることができれば、朝礼は怖くなくなる。

(渡辺淳悦)

「元気が出る朝礼 話のネタ帳」
本郷陽二著著
アニモ出版
1540円(税込) 

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