動き出した地銀 大再編の呼び水になるか、特例法が後押し

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あの手この手で地銀再編を後押し

   こうした地銀再編の動きを後押ししているのが、20年11月に施行された、地銀の経営統合に独占禁止法を適用しない特例法だ。

   青森銀行とみちのく銀行をメインバンクとする青森県内企業を合わせると、全体の7割に達する。福井県の2行も6割近い。シェアが高まると借りる側に不利益が生じる恐れがあるため、公正取引委員会は同一エリアの地銀の統合に後ろ向きだったが、この特例法の施行で経営統合に向けたハードルが下がった。

   さらに、地銀の合併・統合を補助金で後押しする法律が7月に施行される予定で、日本銀行は再編銀行の当座預金に金利を上乗せする新制度を始めて後押しする。こうして菅首相が旗を振る地銀再編を推し進める制度が整いつつあり、菅首相と親しい北尾吉孝社長率いるSBIホールディングスによる「地銀連合」にも参加が相次いでいる。

   コロナ禍で、企業は手持ち資金を確保しようと動き、多くの地銀が融資件数を増やしている。だが、感染の収束が遅れて経営が傾く融資先が増えれば、貸した側の地銀の経営も大きく傷付きかねない。そうなってから再編に動いても遅いということか。

   銀行の数だけ減らしても地域経済が良くなるわけではない――。そんな「正論」も吹き飛ばさんばかりに、菅政権の地銀への圧力は強まりそうだ。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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