キリン「一番搾り」ブランドの販売が好調だ。
キリンホールディングスは2021年5月13日、一番搾り・缶商品の4月単月の販売数量が、前年同月に比べて6割増加したと発表した。
「一番搾り 糖質ゼロ」が躍進
好調の要因は何なのか――。
J-CASTは5月21日に、キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部の担当者を取材した。
担当者によれば、2020年4月の一番搾り・缶商品の販売数量は、前年同月と比べて1割減少。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で業務用商品はさらに苦戦し、ブランド全体では対前年比で48%まで落ち込んだ。
そんななか、20年10月に新商品「一番搾り 糖質ゼロ」を発売。ビールカテゴリーでは国内初の糖質ゼロを実現した。
また、今年2月には「キリン一番搾り生ビール」を製造分からリニューアルしている。担当者に、「一番搾りブランド」の21年4月の販売数量が6割増加した要因を聞くと、
「リニューアルした『キリン一番搾り』の営業活動を4月に強化し、『一番搾り』缶の合計で対前年3割増と大幅増になりました。味覚、テレビCMともにお客様から高い評価をいただいています。
さらに『一番搾り糖質ゼロ』も引き続き好調で、対目標で5割増となり、『一番搾りブランド』で対前年6割を超えるプラスとなりました」
と話した。
担当者によれば、20年は新型コロナウイルスの影響による「外出控え・宴会自粛」により業務用需要が大幅に減少。「節約志向」「健康志向」がより高まり、缶商品などの家庭用市場が好調に推移した。
酒税改正も好調の要因に
発売当初から好成績を収めた2020年10月発売の「一番搾り 糖質ゼロ」。ビールカテゴリー国内初の「糖質ゼロ」に目を付け、商品化した理由を担当者に聞いた。
「ビールカテゴリーを取り巻く環境は大きく変化しました。20年10月の酒税改正では、350ml缶1本当たり約7円減税されることで、お客様がよりビールを買い求めやすくなり、販売数量の中長期的な伸長が期待されます。
また、経年的な『健康志向』の高まりが、新型コロナウイルス感染拡大によって加速し、これまで堅調に推移してきた当社の糖質オフ・ゼロ系ビール類の販売数量はさらに伸長しました。当社調べでは、酒類飲用者の約8割が『健康』を気にしており、ビールユーザーの糖質オフ・ゼロニーズも高まると考えました」
酒税改正による影響もあって、20年10月の「一番搾りブランド」缶商品の販売数量は19年比8割増だった。今後もビールカテゴリーへの注目が高まると考えられる。