「自分が望む未来を実現させたい...」
「あの人のようになりたい...」
きっとあなたも何か「願望」をお持ちでしょう。願望の実現は「感情」と大きく関係しています。「願望と感情」の関係性について具体的に解説していきます。
「100%仕事で折れない 感情マネジメント」(神谷海帆著)clover出版
感情にフォーカスしない会話
みなさんは、ふだんにどの程度、感情に注意を払っていますか。ここで、よくありがちな会話を例にとってみましょう。
次の文章を読んでください。
Aさん「電車で座ろうと思って並んでたら、横入りしてくるヤツがいて......」
Bさん「何それ?」
Aさん「横入りされてちゃっかり座ってんの。おかげで並んでたのに座れなかったよ!」
Bさん「マジ?」
本書の著者、神谷海帆さんは次のように言います。
「短い会話ですが、この会話の中に感情を表す言葉はどのくらい入っているでしょうか?答えはゼロです。Aさんには、横入りされた『怒り』、自分が座りたかったのに座れなかった『悔しさ』、常識がない人に対する『呆れ』など、複数の感情があります。Bさんは『何それ?』と『マジ?』しか発していませんが、会話が十分成り立っています」
「実際にはAさんは複数の感情があるにもかかわらず、感情を表す言葉は一切使っていません。話しているのは感情ではなく『事柄』です。『空気を読む』という日本語があるように、私達は感情ではなく、事柄を話すことで気持ちを察して会話をしています。人は思った以上に、感情に対して意識を向けてはいないのです」
気持ちを伝えていると思っていても、じつは伝えているのは「事柄」であって、その事柄に対する気持ちを、聞き手がイメージして会話をしているに過ぎないと、神谷さんは言います。
「事柄に対して気持ちのイメージが一致している時は良いのですが、違っている場合、お互いに『わかりあえている』『通じている』という感覚を持ちながら、じつは一致していないという場合に、コミュニケーションのズレが生じます。すれ違いは、このようなことから生じます」
神谷さんは、そう説明します。