「生原酒ボトル缶」で知られる日本盛と、アウトドア総合メーカーのモンベルのタイアップ商品「日本盛×mont-bellオリジナルおちょこ付きクージーと生原酒ボトル缶セット」がネット上で注目を集めている。
日本盛の主力商品と、保冷・保温効果を高めるモンベルのクージー、そして日本文化を象徴する「おちょこ」を組み合わせたこの商品。昨年4月から7月、10月の3回にわたって限定販売し、いずれも完売しているほどの人気ぶりだ。
そして第4弾となる2021年5月17日には1000セットの商品を販売し、わずか40分で完売。なぜこんなにも好評なのか――。会社ウォッチ編集部は20日、日本盛の広報担当者を取材した。
社長同士が「一緒に何かできたらおもしろい」
日本盛とモンベルのタイアップは2019年6月、「日本盛 生原酒 200mlボトル缶 mont-bellデザインボトル」から始まった。
日本盛の広報担当者によれば、日本盛の森本太郎社長とモンベルの辰野岳史社長は昔から親交があり、「一緒に何か取り組みができたら、おもしろい」と考えていたという。
商品タイアップの経緯について担当者は、
「弊社商品の『生原酒ボトル缶』は、リキャップができて、軽くて持ち運びに便利という特性があります。お客様からは『アウトドアシーンでの飲用に非常に適した商品』とのお声があり、バーベキューやキャンプ、お花見、花火大会など屋外で楽しんでいただくことが多いです。
そこでモンベルさんに商品をご紹介したところ、モンベルさんの商品開発コンセプトにも合致することから、『生原酒ボトル缶』のモンベルデザインボトルを発売することになりました」
と話す。
「生原酒ボトル缶」はそのまま飲むことはもちろん、料理酒として使用することもできる。
日本盛はモンベルとタイアップを始めた19年からアウトドア、特に「キャンプ」に重点を置いた飲用啓発を行っている。担当者は、その背景を次のように話す。
「きっかけの一つに、2019年は第3次アウトドアブームが盛り上がり始めた時期というのがあります。それまでは『日本酒を飲む人』の市場で消費者やマーケットを取り合っているような状態でした。
そこで市場の縮小を防ぐため、『お酒は飲むけど、日本酒は飲まない人』という層へアプローチを検討。お酒を飲む機会が多い、キャンプをはじめとしたアウトドアにおける飲用啓発に力を入れるようになりました」
日本盛ではモンベルとのタイアップのほかに、キャンプフェス(音楽ライブなどのキャンプイベント)への出店、ボトル缶のキャップを使った「キャップ飯」の提案、キャンプ場でのサンプリング、SNSを使ったキャンプに関するキャンペーンといった取り組みをしている。
「生原酒ボトル缶」なぜ誕生?
そもそも、「生原酒ボトル缶」はどのような経緯で開発されたのだろうか。
「生原酒ボトル缶」は2015年2月に誕生。開発のきっかけは「日本盛 酒蔵通り煉瓦館」(西宮市)や阪急西宮北口駅の改札内(2021年5月31日まで)で行う蔵元直送生原酒の量り売りで購入者から寄せられた、「日本酒ってこんなにおいしかったんだ」という驚きの声だった。
購入者の声をもとに、生原酒を身近に楽しめる環境を目指す「生原酒の一般化」へのチャレンジが始まった。しかし生原酒は、品質を安定化させる加熱殺菌や希釈を行っていないため、劣化しやすく、品質管理のハードルが高い。そこで劣化要因である紫外線や酸素を防ぐため、遮光性と密閉性に優れたボトル缶を容器に採用した。
容量はモンベルとのタイアップで使用した200ミリリットル(ml)のほか、360mlがある。小さい容量になっている理由を担当者に聞くと、
「容量は『本格的なおいしさをいつでも、どこでも、手軽に』というコンセプトに準じて設定しています。小容量だからこそ手軽に欲しい分を飲めるうえに、様々なシーンで利用できる携帯性の良さを発揮します。また、幅広い層のお客様がトライアルしやすい面もあります」
と説明する。
「持ち運びできる生原酒」という新しい可能性を切り開いた日本盛。今後の商品展開について聞くと、
「違いの分かるユニークな商品開発を意識しています。美味しさ、楽しみ方、シーン、用途、健康など、切り口は様々ですが、お客様にとって新しい気づき・価値の提供ができればと考えています」
と話した。