「高齢者のワクチン接種に社内診療所を使わせろ」
「在宅ワークを達成させるために、企業の名前と数字を公表する」
やることなすこと、行き当たりばったりのくせに、要求だけは「脅し」まがいの上から目線......。
政府の新型コロナウイルス対策に協力を惜しまなかった経済界も、さすがに堪忍袋の緒が切れたようだ。
各自治体の知事の反乱に続き、経済界にまで反旗を翻され、お先真っ暗の菅義偉首相。大丈夫か、ニッポン!
高齢者のワクチン接種に会社の診療所を開放せよ
ことの発端は、河野太郎行政改革担当相(ワクチン担当大臣)が2021年5月13日、企業にワクチン接種のために企業内診療所の提供を求めたことだ。
毎日新聞(5月13日付)「河野太郎氏 企業にワクチン接種の協力要請 診療所や産業医活用」は、こう伝える。
「河野太郎行政改革担当相は5月13日、経団連の冨田哲郎副会長(JR東日本会長)と会談し、企業の診療所や産業医を活用した新型コロナウイルスワクチン接種の促進を要請、地域の高齢者らに対する接種にも協力を求めた。冨田氏は会談後、記者団に『企業にとってもワクチン接種は重要な課題だ。最大限協力したい』と述べ、加盟企業に対し早期に働きかけを行う考えを示した」
というのだ。冨田氏は記者団に、
「工場団地など複数の企業で共通の医療施設を活用することもできる」
と強い協力姿勢を示したのだった。
政府が企業の診療所向けに供給を考えているのは、米モデルナ製のワクチンだ。読売新聞(5月26日付)「職場接種にもモデルナ製、産業医らが社内の診療所で実施...家族も対象に検討」によると、話はさらに具体的になった。
「厚生労働省は、米モデルナ製のワクチンを大規模接種会場に加え、職場での接種にも活用する方針だ。現在接種が進む高齢者や、基礎疾患を持つ人などの優先接種と並行して実施する可能性もある。職場での接種は、(1)産業医らが社内の診療所で実施(2)外部の機関に委託し、会議室などで実施(3)提携する外部の医療機関で実施、などさまざまなパターンを想定。複数企業が合同で実施したり、社外の施設を借りて接種したりするケースも認める。社員の年齢による優先順位の制限は設けず、家族を対象に加えることも検討している」
大企業の中には社内診療所があり、常駐の医師や派遣された産業医などが治療にあたっているところが少なくない。そうした診療所を地域の人に開放してワクチン接種の場にするばかりでなく、従業員やその家族も併せてワクチン接種を進めようという計画なのだ。