経済界も反旗! 菅政権のコロナ対策「無茶ぶり」と「脅し」に無言の抗議(2)

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政府の「脅し」に屈しない日立と伊藤忠の意地

   企業側が猛反発するには理由がある。政府自身の省庁のテレワーク実施調査が極めていい加減だからだ。最新の省庁テレワーク実施調査の結果は、全省庁の平均で約6割(今年1月)だが、調査にはカラクリがあった。朝日新聞(5月20日付)「『無理やり在宅に』霞が関のテレワーク調査、事前に通知」が調査の実態をこう暴露する。

「中央省庁ではテレワーク実態調査が5月19日にもあったが、内閣人事局が各省庁に事前に実施日を知らせていた。調査期間も1日だけで、調査に合わせて在宅勤務を一時的に増やした職場もあった。19日、ある経済官庁の本庁舎はひっそりとしていた。課長や課長補佐ら管理職しか出勤していない部署もあった。ある幹部は『事前に通達があったから無理やり在宅勤務を増やしたが、単なる帳尻あわせだ。国会の答弁書の作成や与党の部会の資料づくりがある時に7割減なんてできるわけがない』と本音を漏らす」
アンケートに答えず、最先端技術のコロナ対策で応じた日立のホームページ
アンケートに答えず、最先端技術のコロナ対策で応じた日立のホームページ

   別の幹部は、朝日新聞記者の取材に、

「国会からの質問の分野次第では他省庁との調整も必要なのに、省庁をまたいでオンライン会議する仕組みもない。民間企業に数値目標を示す前に(我々が)整えることがあるのでは」

とこぼす有り様だという。

   中央省庁がこんな体たらくだから、西村康稔経済再生相の「脅し」に屈する企業はわずかだった。経済産業省のホームページに掲載されている「事業者におけるテレワーク等の実施状況」をみると、5月25日現在、アンケートに回答を寄せた企業は、3800社中573社(15%)だけだ。

   それでも調査に応じた著名企業のURLをクリックしてみると、たとえば、花王の在宅実施率(出勤者削減率)は72~78%、住友化学が65~70%、本田技研工業が58~69%などとある。

   しかし、伊藤忠商事は「テレワークの取り組み」だけを列挙するだけで、実施率は書いていない。

   日立製作所に至っては、アンケートにはまったく答えておらず、URLをクリックすると、「新型コロナウイルスの感染拡大への日立の対応」という同社のホームページのトップに飛んだ。「AIを使った非接触型の入退室管理システム」や「新型コロナウイルスにも応用できるAIを使ったインフルエンザ流行予報」など、同社のさまざまな感染防止の最先端技術が紹介されている。

   「テレワーク実施率〇〇%」などとチマチマした数字だけをあげつらうな!と政府に無言で抗議をしているようにみえる。

(福田和郎)

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