「給与アップ」や「待遇アップ」――。転職の理由・目的としてトップにあがる、この項目に異変だ。人材サービスのエン・ジャパン株式会社が運営する転職情報サイト「ミドルの転職」で、35歳以上のユーザーを対象に「仕事選びの軸」を聞いたところ、30代・40代の1位は「給与・待遇のアップ」だったが、50代では「経験・能力が生かせる仕事ができる」がトップだったことがわかった。2021年5月20日の発表。
30代は待遇や条件を重視、50代は仕事内容を重視
調査によると、「仕事選びの軸」についての全体のトップ3は、「給与・待遇のアップ」(51%)、「経験・能力が生かせる仕事ができる」(50%)、「社風や風土が合う」(39%)だった。
しかし、年代別でみると、30代と40代は「給与・待遇のアップ」(30代=53%、40代=54%)が最も多かった一方、50代のトップは「経験・能力が活かせる仕事ができる」がトップ。じつに71%を占めた。2位も「希望する仕事に就ける」の41%で、「給与・待遇のアップ」は38%で3位だった=下表参照。
■【仕事選びの軸】について■
年代で差がついた項目をみると、「勤務時間・休日など勤務条件の改善」(全体=25%、30代=34%、40代=24%、50代=14%)もあった。
エン・ジャパンは、
「30代は待遇や条件を重視する人が多いのに対し、50代は仕事の内容を重視する人が多いことがうかがえる」
とみている。
また、転職を考えたきっかけを聞いたところ、全体でみると39%が「給与・待遇への不満」と回答して最多。次いで「会社方針・事業方針の転換」(28%)、「会社の業績悪化に伴う事業の解散・縮小」(25%)と続いた。
年代別で差がついたのは、
「会社の業績悪化に伴う事業の解散・縮小」(全体=25%、30代=20%、40代=25%、50代=31%)
「労働環境への不満」(全体=24%、30代=29%、40代=24%、50代=15%)
「業界自体の先行きへの不安」(全体=17%、30代=16%、40代=21%、50代=6%)
「早期退職の募集があった」(全体=5%、30代=2%、40代=4%、50代=14%)
だった。
この質問に寄せられたコメントには、
「チーム全体の業績が悪く、比例するように雑務が増え給与が下がっていった」(30代男性)
「中小企業で給与が上がるイメージが持てなかった」(40代男性)
といった意見からもわかるように、30代、40代では会社の状況や先行きに不安を抱き転職を考える傾向があった。
さらに、転職活動中に「この会社で働きたいと思ったことはあるか?」と聞いたところ、60%が「ある」と回答。理由のトップは「自分自身のキャリアアップが見込めそうだと感じた」(27%)だった。
年代別で大きな差がついた答えは、「入社後のポストや期待されている役割が明確だった」で、全体では15%が回答。30代と40代では13%で、50代では25%だった。
転職活動を進めるうえでの不安ついては、78%が「年齢について」と回答。特に40代は8割、50代は9割以上の人が回答。40代以上の人にとって年齢が大きな不安要素であることがうかがえた。
年代別で大きな差がついたのは「自分の市場価値」(全体=43%、30代=49%、40代=43%、50代=31%)や、「次の職場になじめるか」(全体=28%、30代=40%、40代=26%、50代=20%)。30代や40代は、50代と比べて不安に感じる要素が多岐にわたるようだ。
なお調査は、2021年2021年3月5日~4月29日に、転職サイト「ミドルの転職」を利用する35歳以上のユーザーを対象に実施した。