マスクを着けたくても着けられない人に「せんすマスク」 高校生社長に開発秘話を聞いた(後編)【若手経営者インタビュー】

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「せんすマスク」空港でも配布

   2020年1月に感覚過敏研究所を立ち上げた加藤さん。最初に製作したグッズは、傍からはわかりづらい「感覚過敏」を可視化するマークだ。視覚過敏はネコ、聴覚過敏はウサギ、味覚過敏はコアラ、嗅覚過敏はゾウ、触覚過敏はハリネズミというように、それぞれの症状に合わせた動物をキャラクターに採用した。マークは缶バッチやシールなどの商品に使用されている。

感覚過敏を可視化する缶バッチ(画像は感覚過敏研究所提供)
感覚過敏を可視化する缶バッチ(画像は感覚過敏研究所提供)

   感覚過敏研究所を設立して間もなく、国内では新型コロナウイルスの感染が拡大した。外出時はマスク着用が必須ともいえる状況になるなか、SNSでは触覚過敏によりマスクを着けられない人に注目が集まるようになった。

   そこで感覚過敏研究所が開発したのが「せんすマスク」だ。プラスチック製で扇子の形状をしており、広げて口元を覆うことで、肌に触れずに飛沫を防ぐことができる。

「触覚過敏の人が着けれるマスクについてSNSで聞いたところ、『溶接の時に使うマスクはどう?』という意見がありました。初めは団扇が思いうかびましたが、いろいろな人とブレストする中で、持ち運びやすさを考えた上で扇子になりました。
また最初は紙製にすることも考えていましたが、飛沫で濡れてしまうため、アルコールで拭いて水洗いもできるプラスチックにしました」

   せんすマスクは20年7月に発売され、取材時点(2021年5月12日)で約7600本が売れている。成田空港ではマスク着用が困難な人のために無料配布されており、最近では結婚式場からも声がかかっているという。

「現在はオンラインショップのみで販売していますが、いろいろな反響をいただいています。最初はハリネズミの絵柄だけでしたが、購入者の声を受けて、透明、半透明、黒のバージョンを追加で作っています。透明なものは表情が見えるので、聴覚障害の方と話すときに使えます」
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