開催・中止は感染リスクの影響で判断すべき
国内の観客制限による損失について、木内氏は「経済への影響は軽微と言える」と指摘。というのも、2020年度名目GDP(国内総生産)の規模と比べると「無観客のケースでも0.02%に過ぎない」からだ。
また、大会中止の場合の経済損失「1兆8108億円」にしても、「GDPと比べると0.33%の規模」であり、「景気の方向性を左右するほどの規模ではない」という。
一方、コロナ対策としてこれまで3回発出された緊急事態宣言による経済損失は、1回ずつの規模がいずれも、大会中止で見込まれる経済損失を上回る。木内氏の推定値は、1回目が6兆4000億円、2回目6兆3000億円、3回目はこれまでで1兆9000億円で、期間延長となれば約3兆円がさらに増える見通しだ。
木内氏は、
「大会開催をきっかけに、仮に感染が拡大して緊急事態宣言の再発令を余儀なくされる場合には、その経済損失のほうが大きくなる。試算は、大会の開催・中止の判断、観客制限の判断については、その経済的な損失という観点ではなく、感染リスクへの影響という観点に基づいて慎重に決定されるべきであることを示唆している」
と結んでいる。