コロナ禍のフィットネスクラブ、2020年度の市場規模は3割超の縮小 倒産・休業は過去10年で最多

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   新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、フィットネスクラブ・スポーツジムの苦戦が続いている。

   フィットネスクラブ業界もコロナ禍で経営環境が一変。それまでは激しい顧客獲得競争を演じながら、業容拡大を続けてきたが、自治体からの度重なる営業時間の短縮や休業要請に、会費免除や休退会者の増加といった問題に頭を抱えている。

   帝国データバンクの調査では、2000年度(20年4月~21年3月)に発生したフィットネスクラブ事業者の倒産や廃業が累計26件。19年度の23件を上回って過去10年で最多となり、過去20年間ではリーマン・ショック直後で需要が大きく後退した08年度の29件に迫った。

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収入、前年度から半減以上となった企業も

   スポーツ施設は政府・自治体から、感染リスクの高い施設とされ、それにより新規会員の獲得が伸び悩み、どこも平時の営業状態へ回復するメドが立たない状況が続いている。

   大手事業者でも大幅な赤字を計上。不採算店舗の整理などの動きが目立ち、なかでも経営体力に乏しい中小のフィットネスクラブが経営破たんや事業継続を断念するケースが増えている。国データバンクは、保有する企業データベースを基にフィットネス事業者の業績を調査。通期予想を含めて2020年度の業績が判明した約500社のうち、7割超で前年度から売上減少となることがわかった。

   このうち、減収となった企業の売り上げ減少幅は平均で20%を超えており、前年度から半減以上となった企業もある。

   また、減収企業のうち利益動向が判明した企業約130社をみると、約6割が最終損益で赤字、2割では減益となり、損益面でも影響を受けた企業が8割超にのぼる。特にコロナ禍で利用者の急減に見舞われ、収入の柱である会費・利用料収入が大幅に減ったためとされる。

   コロナ禍前までは右肩上がりの成長が続いたフィットネスクラブ市場だが、20年度の市場規模推計は5000億円台にとどまる見通し(事業者売上高ベース)で、過去最高となった19年度の約7100億円から3割超の減少。過去10年では初めて、市場縮小を余儀なくされる見通しだ。

在宅勤務、外出自粛で戻らぬ利用者

   一方、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、フィットネスクラブの合計利用者数(月別)は、2016年4月に2084万人となった。その後は小幅な増減を繰り返しながら、20年2月(2071万人)まで約2000万人の規模が続いていたが、コロナ禍の感染拡大でフィットネスクラブが感染スポットとして取り上げられたことが響き、20年3月に1176万人と急降下。緊急事態宣言で休業を余儀なくされるなどして同5月には100万人にまで落ち込んだ。

   調査によると、20年6月の合計利用者数は1284万人と急回復したが、増加のペースは遅く、2021年3月は1716万人にとどまっている。

   各施設は感染対策を強化しながら順次再開させたものの、テレワークによる在宅勤務の拡大や不要不急の外出自粛などで店舗への来店頻度が大きく低下。2021年に入っても利用者が前年比7割前後の回復にとどまるなど、需要の回復は遅れぎみだ。

   フィットネスクラブをめぐっては、今後も引き続き外出自粛などの動きから来店頻度の低下、店舗の集客力低迷が続くとみられる。そのため、各社とも屋内店舗型サービスから、オンライン中心のサービスや、アウトドア型のフィットネスなど新たな需要を掘り起こすことで、利用者の早期回復や経営の立て直しを模索している。

   トレーニングジム最大手のRIZAP(ライザップ)は、オンラインを活用した在宅フィットネスのプログラムを拡充。店舗の統廃合を進める一方で、TikTok(ティックトック)やYouTube(ユーチューブ)など動画投稿サイトを活用し、非接触・非対面型のサービス拡充に取り組んでいる。

   ルネサンスは傘下の子会社を通じ、アウトドア型のフィットネス事業へ本格的に参入。アウトドアフィットネスは、ウオーキングやヨガなどのメニューを、公園など屋外施設や自然環境を利用して行う新形態のサービスで、屋内で「『密』を回避したい」と考える個人利用者の潜在ニーズ取り込みが期待でき、今後の事業拡大が見込まれる分野とされている。

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