職場でジェンダーギャップ(男女格差)を感じている女性は約半数――。
人材関連事業のキャリアデザインセンターが運営する転職サイト「女の転職type」がシリーズで行っている働く女性を対象にした最新調査で、こんな結果がわかった。
年代が上がるほど格差強く実感
調査で、「今の職場にジェンダーギャップがあるか」と聞いたところ、18.8%が「非常にあると思う」と回答。「ややあると思う」(33.6%)と合わせ、ジェンダーギャップが「ある」と答えた女性は52.4%と5割を超えた。
「ない」派は、「あまりないと思う」(30.1%)、「ほぼないと思う」(17.5%)を合わせて47.6%だった。
職場ジェンダーギャップについての「ある」派と「ない」派の別を年代別にみると、年代が上がると「ある」派の割合が高まる傾向。20代では36.5%(「非常にあると思う」11.0%と「ややあると思う」35.5%の合計)、30代では53.3%(前者20.1%、後者33.2%の合計)、40代は56.9%(前者25.2%と後者31.7%の合計)だった。とくに40代は、4人に1人が「非常にある」と感じており、格差を強く感じていることがわかった=下のグラフ参照。
「ジェンダーギャップが理由で転職を考えたことがあるか」を聞いたところ、「ない」が73.5%と大多数。「ある」は26.5%で、そのことを理由に転職まで考える人は4人に1人にとどまった。
「『女性であること』が理由で、職場で経験したこと(感じたこと)」についての問いで、最も多かった回答は「お茶出し、掃除などを任される」で38.2%。次いで「給料が低い」の36.5%、「給料が上がりにくい」35.9%、「昇進スピードが遅い」32.7%、「管理職になりにくい」29.4%、「セクハラを受ける」24.8%と続いた。「とくにない」との答えも24.0%あった。
事業が軌道に乗るとはずされる...
さらに、「『女性であること』は職場でどう影響するか」について質問。「やや不利になる」(43.1%)と、「とても不利になる」(12.6%)を合わせて、「不利になる」と考えている人が55.7%にのぼることがわかった。
「有利になる」と考えている人は18.6%(「やや有利になる」16.8%と「とても有利になる」1.8%の合計)で、「不利になる」派はその約3倍だ。「影響しない」は25.6%だった=下の円グラフ参照。
「とても不利になる」を選んだ回答者からは、こんなコメントが寄せられた。
「任されていた仕事が軌道に乗り始めると男性社員にバトンタッチし、順調に結果が残せたらその人が出世する。立案、計画、実行の途中まで任されていてもその評価は無かったことにされ、部門長からも『補助、雑務、事務』としてしか見てもらえていない」(営業系正社員、40代、東京都)
「役職者や外回りの営業であってもお茶出し・掃除などの仕事をさせられ、その時間に合わせて仕事をスケジュールしないとならない。男性は新入社員であっても免除されている」(事務・経理・人事系正社員、50代、静岡県)
「とても有利になる」の回答者からは、
「外見がまあまあいいので可愛がってもらえる」(エンジニア系正社員、20代、東京都)
「営業職で、取引相手は社長や人事の偉い人が多かったため自然と男性相手になる。そのため女性のほうが好かれやすく、売り上げも良い傾向があった」(営業系正社員、20代、埼玉県)
などの声があった。
また「影響しない」と回答した人からは、
「働き方は自分次第で変えられる。やろうと思えばできるし、できないと思えばできない。男性だからとか女性だからではなく仕事をするかしないか。仕事にジェンダーは関係ない」(サービス・販売系正社員、20代、山口県)
との意見があった。
「職場のジェンダーギャップ解消のためには、何が必要と思うか」との質問で、1位になった回答は「社長(経営層)の意識が変わる」で59.6%。次いで「誰でも育休が取りやすい環境にする」(53.7%)、「リモートやフレックスなど柔軟な働き方ができる環境が整う」(46.5%)、「ジェンダー平等の提案、発言ができ環境が整う」(45.2%)と続いた。
なお調査は、2021年4月1~14日に、「女の転職type」会員を対象に実施。868人から有効回答を得た。5月18日の発表。