「巣ごもり」で伊藤忠が5年ぶり首位
商社は大手7社中、住友商事が赤字、5社も減益と、全体にコロナ禍の影響で厳しい決算だった。その中で、巣ごもりで食料品や情報通信関連が堅調だった伊藤忠が最終利益で、期初見込んだ4000億円を上回る4014億円(前期比19.9%減)を計上し、5年ぶりに首位になった。
前の期まで首位だった三菱商事は、資源価格の低迷や子会社のローソン株の減損処理などが響き、最終利益は67.8%減の1725億円となり、4位に転落した。三井物産も資源関連の不振が足を引っ張る一方、前の期に過去最大の1974億円の赤字を計上した丸紅は、食料などが好調で黒字に転じるなど、明暗が入り乱れている。
2022年3月期は、コロナでの大きな落ち込みからの回復を見込む企業が多い。5月13日時点のシンクタンクのまとめでは、東証1部の約950社の最終利益の見通し(合計)は、製造業が前期比23.4%増、非製造業が同70.9%増となった(変動の大きいソフトバンクGを除く)。非製造業では、「谷深ければ山高し」というわけで大幅増益、黒字転換を見込むところが多い。
ただ、特に非製造業ではワクチンの迅速な摂取で人の流れが戻ることを、期待を込めて想定している部分が大きい。「ワクチン接種が遅れれば、業績回復の足を引っぱる可能性がある」(大手紙経済部デスク)だけに、先行き、楽観は禁物だ。(ジャーナリスト 白井俊郎)