森喜朗前会長の「政治力」を惜しむ組織委の職員
大会組織委員会は現在、大混乱に陥っており、こちらも「頭の中は真っ白」で、中止などまったく考えられない状況のようだ。日刊スポーツによると、
「観客上限の軸は『50%』か『無観客』か。現場も『早く決めてほしい』と願う(しかも、海外観客は受け入れないと決めながら)IOCが先月も『チケットを追加販売できないか』と言ってきたと明かす人も。各国際競技連盟(IF)との板挟みに悩む職員もいる。メディアの取材体制を検討する職員は『コロナ対策を取りながらメディアが求める取材環境を整えることのバランスが難しい』と語る。ミックスゾーンは記者同士の距離を1メートル離さなければならないが、あるIFからは『もっと記者を入れられるようにしてほしい』と要望があり、苦悩していた」
という。
もともと、組織委は政府や東京都からの出向組が多くいるが、元来、東京五輪・パラリンピックを運営するための集団で、わかりやすく言えば大きなイベント会社だ。大会が開催できるよう準備し、本番を滞りなく運営し、成功裏に導くことが仕事だ。だから、五輪に批判的な国民の声に戸惑いを感じつつも、本分である大会準備の手を止めるわけにはいかない、という。
では、組織委が中止に動く場合はどんな場合なのか――。日刊スポーツは、
「『五輪反対が8割程度になれば持たないだろう』。ある組織委関係者はそう漏らす。整備費高騰で新国立競技場の計画が白紙撤回された際も、反対が8割だった。(ただ、中止の場合には『政治力』が必要だ)組織委職員の多くが森喜朗前会長の辞職を惜しんだ。ある組織委職員は『森さんがいたから、これだけの会社が大会スポンサーになってくれた。足しげく会社まで通い、頭を下げていた。電通だけではここまで集められなかった』と語った。また他の組織委関係者は『橋本聖子会長はものすごく一生懸命にやられているが、開催か中止かと言われている中で、IOCや政府に対し、森さんの政治力があったらと思う日が来るかもしれない』と漏らした」
とみている。
(福田和郎)