米紙「復興五輪のはずが放射能になった」
こうした日本の反対論の高まりを見て、東京五輪の中止を訴える海外メディアが増えている。米の有力紙ロサンゼルス・タイムズが5月18日、「Olympics must be canceled after Japanese flip from fans to protesters amid COVID strain」(新型コロナ感染拡大による緊張が続き、日本人がファンから抗議者へと転向した今、オリンピックは中止しなければならない)というタイトルのコラムを掲載した=写真参照。
同紙の主張は辛らつだ。
「東日本大震災からの復興を祝う『復興大会』と呼ばれた東京五輪だが、皮肉なことに今は東京五輪そのものが放射能になっている」
と指摘し、五輪開催に猪突猛進する日本政府や大会組織委を厳しく批判。
「日本では五輪メダリストが引退後に政治家やタレントに転身して人気を博すほど五輪好きなのに、日本人の7割が自国で開催される五輪の中止を望むのは異常事態だ。そのクレイジーな状態の中で東京五輪が開かれようとしている。日本のワクチン接種率は3%未満で、感染力の強い変異種のまん延により、いくつかの都道府県で緊急事態宣言が出されている。医療体制がすでにひっ迫しているのに、これ以上の医療資源を転用する理由はない」
と主張。こう結んでいる。
「国民のアンチ五輪感情は、リカコ・イケエらのアスリートに向けられ、著名人が聖火ランナーを次々に辞退した。そんな状況下でも総理のスガは『国民の命と健康を守りつつ、アスリートにとって安全安心な大会を行う』と主張しているが、楽天のミキタニや、ソフトバンクのソンら財界人がCNNなどに訴えているように『五輪を開催すると壊滅的な被害が出る。これ以上被害を拡大させないためにも中止するしかない』だろう」
(福田和郎)