米国経済の復活が唯一の救いになるか?
第一生命研究所の主席エコノミスト新家義貴氏も、野村総合研究所の木内登英氏と同様に、感染がさらに再拡大して4~6月期も停滞続く予測をする。「2021年1~3月期四半期別GDP速報 ~個人消費を主因に年率5.1%のマイナス成長。感染再拡大で4~6月期も停滞続く~」(5月18日付)の中で、3度目の緊急事態宣言の影響の大きさをこう指摘する。
「GDP統計で前期比年率マイナス5.1%という減少幅は、かなり大きな部類だ。3度目の緊急事態宣言では、酒類を提供する飲食店に加え、百貨店、ショッピングモールなどの大型商業施設等にも休業要請が出されたほか、イベントの無観客実施が要請されるなど、前回の緊急事態宣言と比較して経済活動制限の度合いが強い。悪影響が飲食・宿泊などに集中していた2度目宣言と比べると、影響の範囲が広い。輸出の好調さが下支えになるものの、消費の落ち込みが響く形で4~6月期のGDP成長率はゼロ近傍にとどまるとみる。感染状況次第では2四半期連続のマイナス成長となる可能性も十分ある。目先は停滞感の強い状態が続くだろう」
ただ、新家義貴氏は今後の希望として、輸出の好調さに「活路」を見出している。
「輸出は前期比プラス2.3%と、3四半期連続で増加した。地域別では、米国向けが伸び悩んだ一方で、中国、NIES(編集部注:シンガポール、香港、台湾、韓国などの新興工業国)、ASEAN といったアジア向け輸出の好調が続いた。財別では、これまで輸出をけん引してきた自動車輸出に頭打ち感がみられたものの、世界的な半導体需要の増加や設備投資需要の盛り上がりを受け、電気機械や一般機械などが好調に推移し、輸出をけん引している」
また、先行きについても、
「ワクチン普及による感染抑制の実現や経済対策効果によって、米国景気の加速が見込まれるなか、輸出は好調に推移する可能性が高い」
として、米国経済の復活が日本経済によい効果をもたらすだろうとみている。
(福田和郎)