小池都知事、吉村大阪知事「順番を守る」
若手の鈴木直道・北海道知事(40)や熊谷俊人・千葉県知事(43)、吉村洋文・大阪府知事(45)らも「まだ接種の対象になっていない」との回答で、基本的に国が定めた順番に従うという知事が圧倒的に多い。
「AERA dot.」の調査を見る限り、行政のトップが率先してワクチンを打つべきだとする考えの人はほとんどいないようだ。
こうした姿勢について、行政の専門家はどう見ているのだろうか。時事通信(5月15日付)「『首長優先』許される? ワクチン接種、識者の見解は」は、2人の専門家の意見を紹介している。
地方自治論が専門の同志社大学の野田遊教授は、こう指摘した。
「首長は自治体の意思決定を行う決裁権者。優先接種を受けるべき立場であり、受けなくてはならない。もし首長が感染すれば、ワクチン供給や感染防止対策は大きく遅れ、住民が不利益を受ける。余ったワクチンを打つこと自体、本来はそこまで問題視されることではない」
さらに、野田教授は優先接種に厳しい目が向けられたのは、ワクチンの供給遅れや予約システムの不備など、行政の不手際に不満がたまっていることが背景にあると分析、こう結んだ。
「首長側は『自分も医療従事者』などと言い訳せず、市民のために接種を受けたと丁寧に説明していくべきだ」
京都大大学院の児玉聡准教授(医療倫理)は、厚生労働省が過去に定めた新型インフルエンザワクチンの接種ガイドラインでは、医療従事者のほか首長や警察官などの「社会機能維持者」も優先対象だったと説明。こう指摘した。
「なぜ(行政のトップが)新型コロナウイルスでは含まれなかったのか。不透明な形での優先接種は、公平性の観点から問題がある。菅義偉首相も訪米前、例外的に優先接種を受けたが、バイデン米大統領に会うためとあって当時は騒がれなかった。余ったワクチンの扱いも含め、例外や拡大解釈を許さないような厳格なガイドラインを作っておくべきだった」