本音は「政治資金パーティー」のため
じつはこの「国会接種」、いつあるかわからない衆議院選挙への思惑が絡んでいる。衆議院選挙の準備のためには政治資金パーティーを開いてカネ集めをしなくてはならない。そのパーティーを開くためには事前にワクチンを接種しておく必要があるからだ。
そんな国会議員たちの露骨な狙いを、産経新聞(5月14日)「『上級国民』批判恐れ、ワクチン接種で悩む国会議員 派閥パーティー批判も」が、こう伝える。
「国会議員がワクチン接種の対応で頭を悩ませている。接種希望者が殺到している最中に(国会で集団接種の)注射を打てば、『上級国民だ』と糾弾されかねないためだ。秋までに行われる衆院解散・総選挙を見据えた『軍資金』集めとなる自民党各派閥の政治資金パーティーも『コロナ禍にけしからん』との批判を避けるため、開催時期をずらす動きが出てきている」
実際、今年1月に自民党本部の全職員を対象にPCR検査の実施を決めた際にも国民の一部から不満の声が寄せられた。党幹部は「国民と全く同じルールでやったとしても『特権階級』と攻撃される可能性がある。少し落ち着いてからワクチン接種したほうがいいかもしれない」と語る。
産経新聞は、こう続ける。
「高齢の国会議員については、集団感染が立法府の機能低下を招く懸念があるため、国会内の施設を使った接種も水面下で検討されている。しかし、接種の申し込みが殺到し、混乱が生じている地方自治体が少なくない中、『特別扱い』と批判されることを心配する国会議員もいる」
つまり、選挙のための政治資金パーティーを開くためにワクチン接種は欠かせないのに、「特別扱い」と批判されては逆に選挙にマイナスになる。その政治資金パーティーもいつ開けるかわからなくなってきた。産経新聞はこう結んでいる。
「自民は政治資金パーティーの対応にも苦慮する。岸田派は5月19日に行う予定だったが、コロナ禍での開催が批判を招きかねないこともあり7月8日への延期を決めた。党内7派閥のうちパーティーを行ったのは4月の麻生派のみで、岸田派以外の5派は6月を予定している。ただ、パーティーで感染者を出せば批判されかねない。ある派閥のベテランは『しばらくパーティーを開くのは難しいのではないか』と悲観的に語った」