強行策が裏目に?「傲慢なIOC」のイメージが拡散
このIOC会見乱入事件が、開催が目前に迫っている東京五輪・パラリンピックに影響を与えないかというと、そうでもなさそうです。海外メディアの動きを見る限り、「乱入会見」をきっかけに、IOCの強硬な姿勢を公然と批判する記事が目立ってきました。
私もマーク・アダムス広報部長の会見の様子を報じる記事を読みましたが、その強気ぶりにはあきれるばかり。開催地・東京の住民としては驚きを通り越して悲しくなるようなコメントが次々と繰り出されました。
IOC says negative public opinion is no threat to Tokyo Games
(IOCは、東京五輪開催に否定的な日本の世論は脅威ではないと語った:AP通信)
会見で、世論調査によると、日本国民の大多数が今夏の東京五輪開催に反対か延期と応えていることに関して、アダムス氏は「We listen but won't be guided by public opinion」(世論に耳を傾けるが、世論に導かれることはない)と発言。
さらに、
「(東京五輪が開催されることは)日本の人々に自信を与えるだろう」といった驚きのコメントを次々と発しているのです!
「IOC独自の調査によると、日本の人々は東京五輪の開催を望んでいる」
おそらく、IOCが接している日本政府や組織委員会らの関係者がこういった情報を提供しているのでしょうが、あまりにも人々の命や心配する声を軽視する対応に、各国メディアが批判的に報道し始めました。
会見に乱入した五輪反対の活動家とその仲間は、その後ツイッターで「IOCの会見をクラッシュ(粉砕)してやったぜ!」と投稿したそうです。会見への乱入は、「ロサンゼルス五輪開催反対」が目的だったかもしれませんが、IOCに与えた打撃は予想以上に大きかった様子。東京五輪をめぐる潮目が変わってきたかもしれません。(井津川倫子)