長引くコロナ禍の影響で転職意欲が強まっていることが、株式会社ビズリーチの調査でわかった。5月12日に発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大による転職意欲への影響について聞いたところ、84.6%の人が「コロナ禍の状況で転職意欲が向上した」と回答。1年前(57.0%)と比べて、27.6ポイントも上昇した。
「企業・事業に将来性を感じられなくなった」
ビズリーチの新型コロナウイルスの感染拡大に伴う働き方やキャリア観・転職活動への影響に関するアンケート調査によると、「コロナ禍の状況下で、転職に関する考え方に変化があったか」との問いに、「以前から転職を考えていたが、ますます意欲が高まった」と答えた人が62.0%、「以前は転職を考えていなかったが今は検討するようになった」が22.6%で、合わせて84.6%の人が、転職意欲が向上したと答えた=下の円グラフ参照。
同社は1回目の緊急事態宣言が発出された昨年(2020年)4月にも同様の調査を実施。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、「転職に関する考え方に変化があったか」の問いに、「(転職)意欲が高まった」と答えた人は46%、「検討するようになった」は11%で、転職意欲が向上した人は合わせて57%だった。
ビズリーチは昨年と今年の調査結果を比べて、
「長引くコロナ禍の影響で、ビジネスパーソンの転職意向が変化していることが明らかになった」
と指摘した。
「転職意欲が向上した」と答えた人(656人)に、転職を検討する理由について聞くと、
「企業・事業に将来性を感じられなくなったから」(28.2%)」
「経験・スキルが生かせていないから」(27.9%)
「他の産業や業界を経験し、スキルの幅を広げておいたほうが良いと考えたから」(11.4%)
などが上位に並び、現状の業務に物足りなさや不安を感じるようになったことをうかがわせた。
また、コロナ禍の中で「挑戦したい業界や領域」を、回答者全員に選んでもらったところ、「教育産業」が31.7%と最も多かった。「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進関連」が28.3%、「医療」が27.7%、「宇宙産業」の20.9%が上位になった。
長引くコロナ禍で、社会情勢や経済環境がコロナ禍前と比べて激変しているが、経験豊かでスキルに自信がある「即戦力人材」の転職希望者は、市場をよく観察しているようだ。
転居を伴う転職に対する意識にも変化が見られた。
「転職意欲が向上した」と回答した人たち(656人)に、転居して別の地域に勤務する転職についての考え方を聞いたところ、「以前と変わらず検討している」(32.5%)と「コロナ禍の状況下で、前向きに検討するようになった」(27.1%)を合わせた59.6%が「転居を伴う転職に前向き」と回答。
ビズリーチは「コロナ禍の状況下で、前向きに検討するようになった」人が、「転居を伴う転職に前向き」な人たちの半数近くを占めた、と指摘。「コロナ禍をきっかけに働き方や暮らし方を変えて、地方に移住するなど働く場所のニーズも変化していることがわかる結果になった」と分析した。
なお調査は、2021年3月29日から4月4日に、ビズリーチの会員を対象に実施。775人から有効回答を得た。会員の平均年収は740万円。平均年齢は40歳(いずれも21年1月末時点)。