航空決算、コロナ禍で空前の赤字 ANAとJAL、急回復の「頼みの綱」はワクチン接種

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

ANA、2021年夏冬の一時金をカット

   旅客がどんなペースで回復するか、なかなか見通せないなか、当面はいかにコスト削減を続けながら、新たな収益源を見つけるかという「守りの経営」を強いられる。

   経費圧縮へ両社が取り組むのが出向だ。ANAHDは約200の企業・団体に約750人、JALも約130の企業・団体に約1700人のグループ従業員を出向させている。ANAHDは21年の夏と冬の一時金ゼロを労組に提案していることも明らかになっている。雇用維持のため、賃金カットを含む厳しいコスト削減を続けるしかない。

   一筋の光ということでは、世界経済の持ち直しで半導体や自動車関連部品などを中心に航空貨物の運賃がアップするなど、旅客よりひと足早く回復基調に入った。両社は機内食や国際線ラウンジのメニューの外販といったさまざまな増収策を進めてもいる。が、どれも本業の落ち込みをカバーするにはほど遠い。

「航空需要は新型コロナのワクチン(の接種率)に連動して回復する」

   ANAHDの片野坂真哉社長は、決算発表の場で述べたとおりだろう。

   国際航空運送協会(IATA)は21年の「旅客キロ数」(旅客数×飛行距離)の見通しを世界平均で19年の43%とし、ワクチン接種が進む北米は59%まで回復する一方、ワクチンが遅れる欧州、アジア太平洋、中東は4割前後にとどまるとしている。ワクチン接種に手間取る日本で、航空2社の黒字化の道に垂れ込める暗雲は、簡単には晴れそうもない。(ジャーナリスト 済田経夫)

姉妹サイト