ANA、海外貨物は好調
問題は今期(2022年3月期)以降だ。
ANAHDは売上高が前期比89%増の1兆3800億円、最終損益は35億円の黒字になるとの見通しを示している。前提は、(1)国内線は7月以降に旅客数が回復し、期末におおむね新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻る(2)国際線は期末時点でコロナ禍前の5割程度に回復(3)通期の旅客数は国内線がコロナ前の19年の年間に比べて2割減、国際線が7割減(4)国際貨物の売上高は前期比23%増の1970億円と過去最高になる――など。貨物については新たな貨物便を米ロサンゼルスに就航させるなど、すべての貨物専用機を需要が旺盛な成田空港の発着路線とし、事業の拡大を目指す。
JALは今期の業績見通しの開示を見合わせた。合理的な数値の算出が困難なためとしていて、国内外の感染状況やワクチン接種の進捗などから、航空旅客需要の回復が一定程度見極められた段階で、速やかに業績予想を示すとしている。
その代わりというわけではないが、26年3月期まで5年間の中期経営計画を決算と併せて発表した。最初の3年は、コロナ禍からの再生の期間と位置づけ、続く2年に再び成長に向けて投資を拡大していくとして、5年後に1850億円規模の黒字を目標に掲げた。
具体的には、コロナ禍が収束してもテレワークの浸透などでビジネス客は完全には回復しない一方、観光は回復するとして、観光に強い格安航空会社(LCC)の強化を打ち出したのが最大のポイント。6月に中国資本の春秋航空日本(千葉県成田市)への出資比率を5%から51%超に引き上げて子会社化し、出資しているジェットスター・ジャパン(同)、完全子会社のジップエア・トーキョー(同)と合わせLCC3社の売上高を26年3月期には現状の2倍にする計画だ。