会社はあなたを守ってはくれない
日本人はよく働きます。その結果、働きすぎてしまうきらいがあります。組織に属し、仕事に従事するうちに、自分の生活が仕事だけになっている人がいます。そんなふうになると、人生はとてもつまらなくなってしまいます。すでに人生を楽しめなくなっている証拠です。
しかし、このような人が報われることはありません。尽くしてもイヤな仕事を率先してやっても、心身ともに疲弊し、ストレスをためているケースが少なくありません。頑張っているが、だんだん空回りしてきます。最終的には働けなくなり、会社にも家族にも迷惑をかけてしまいます。
組織や仕事の命ずるままに仕事をしてくると、このような不幸を生み出します。「ミスが目立つようになる」「重大な事故を引き起こす」「体調不良からカラダを壊す」など、問題が表面化したときには、すでに影響が出はじめているかもしれません。
そして上司には、こう言われるでしょう。
「どうしてこうなるまで放っておいたんだ」
「なんでもっと早く報告しないんだ」
「自己管理の問題だ。無理するからこうなるんだ」
ひとつ言えることは、会社はあなたを守ってはくれないということです。
これは、異性関係に置き換えるとわかりやすいと思います。片方(あなた)が好意を抱いていても、相手(会社)にはそれに応える義務はまったくありません。相手が振り返ってくれないことで、悩み苦しんでも誰も助けてはくれないのです。
本書を通じて、会社や仕事との関係、自らが置かれた状況を客観視することで見えてくるものがあるように感じます。コロナ禍の中、メンタルヘルスに配慮しながら、業績をアップできる組織には何が必要か? そのヒントが提案されています。(尾藤克之)