EUがAI規制案、世界標準を狙う 市民の権利保護と企業への投資呼び込み促す

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「国民を監視」 顔認証で人種差別

   EUがAI規制に動く背景には、業務効率化や新たなサービス提供などを目的にAIの利用が急拡大するなか、犯罪捜査や人材の採用などでのAI利用が人権を脅かすとの懸念が指摘されていることがある。

   白人警官による黒人被疑者への差別が問題となっている米国では2020年、IBMやアマゾン、マイクロソフトなどIT大手が警察への顔認証技術の提供を停止するなどした。

   中国ではIT企業に、政府への個人情報の提供を義務付け、当局が広範な国民の個人情報を集積しているとされ、AIを使った顔認証が少数民族のウイグル族の監視に使われていると伝えられている。さらに中国の監視システムが独裁国家や権威主義国家で国民の監視に活用されるなど、国際的な懸念が広がっている。

   AIの利用に関する国際的な包括ルールは整備されておらず、人権団体などから懸念が示されていた。欧州委員会でデジタル分野を担当するベステアー上級副委員長が4月21日の発表の中で、

「AIは進歩のための力であるべきだ。しかし、実現にはAIシステムの信頼構築が必要だ。リスクの軽減が確信できる場合にのみ、AIの社会的・経済的潜在力のすべての恩恵を受け取ることができる」

と、ルールの必要性を強調したのは、EU内外の懸念に応えようとする狙いがある。人権を重視する欧州の面目躍如といったところだ。

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