格安「韓国コスメ」が日本女性に爆売れ
一方、韓国の製品に日本の若い世代が飛びついている現象を紹介しているのが、朝鮮日報(5月11日付)「中国で苦戦した韓国中小化粧品ブランド、日本では破竹の勢い 嫌韓関係ない『MZ世代』攻略」と見出しの記事だ。
背景には、中国では「限韓令」(韓流禁止令)を出して、韓国の映画、ドラマ、音楽、広告など韓国文化(韓流)の流入を制限していることがある。これは2016年に、中国をけん制するため、米軍が開発した高高度防衛ミサイル・システム「サード」の朝鮮半島配備を決定したことに対する報復措置だ。このため、これまで中国で大人気だった格安の「韓国コスメ」が売れなくなった。
朝鮮日報がこう伝える。
「『韓流禁止令』に続く新型コロナの衝撃で、中国で苦戦している『Kビューティー』(韓国製化粧品)が日本では躍進している。嫌韓ムードを気にしない日本の『MZ世代』(1980~2000年代初め生まれのミレニアル世代と、1990年代半ば~2000年代生まれのZ世代を合わせた言葉)が韓国の化粧品に目を向け始めたのだ。ネイチャーリパブリック、クリオ、ミシャ(MISSHA)など韓国の中小化粧品ブランドが善戦している」
ネイチャーリパブリックは昨年(2020年)、日本の有力ネット通販サイト「Qoo10」(キューテン)と楽天市場に出店。特にQoo10では、主力の基礎化粧品が最初の2か月で化粧品分野の総合販売で首位に立つほどの評価を受けている。おかげでコロナ禍の中でも、ネイチャーリパブリックは2020年の売上高が前年の7倍に増えた。
クリオも昨年、日本のネット通販で200億ウォン(約19億5000万円)、オフラインで150億ウォンを売り上げた。それぞれ120%、54%の伸びだ。
ミシャはオフライン流通を強化し、成果を上げた。多彩なブランド商品を集めて販売する「バラエティーショップ」を集中的に攻略。例年の販売量を32%上回った。
これらKビューティーブランドの共通点はブランド名を冠した単独の売り場を思い切って捨てた点だ。日本の消費者との接点を広げるため、バラエティーショップやネット通販に戦線を拡大した。それらを通じ、年配の世代とは異なり、ネット通販を好む日本のMZ世代を攻略することに成功した。
朝鮮日報は、こう結んでいる。
「日本で復活した韓流ブームも一役買っている。昨年からインターネット配信を通じた『第4次韓流』が始まったからだ。ネイチャーリパブリック関係者は『中壮年層が中心だったこれまでの韓流とは異なり、最近の韓流は日本の若い層が反応しているのが特徴だ。日本のMZ世代は政界や極右勢力の嫌韓ムードによる影響をあまり受けない』と説明した」
かつての韓流は「ヨン様」こと、ペ・ヨンジュンさんに憧れた「冬ソナ世代」が中心だったが、現在は「BTS」の音楽と踊りにしびれる第4世代。彼らは、政治的対立に関係なく、「いいものはいい」と素直に韓国製品・文化に惹きつけられているというわけだ。
(福田和郎)