通勤定期の落ち込み、意外? に限定的
一方、4月28日には、27年3月期までの6年間の経営ビジョン「UPDATE小田急」も発表した。前半3年を「体質変革期」、後半3年を「飛躍期」と位置づけ、前半3年の3つの経営課題として、「利益水準の回復」「有利子負債のコントロール」「事業ポートフォリオの再構築」を挙げた。
株価の上昇基調を確かなものにするためには、「体質変革」に向けた具体策を示し、実行していくことが求められそう。
ちなみに、21年3月期連結決算は売上高にあたる営業収益が前期比27.7%減の3859億円、営業損益が241億円の赤字(前期は411億円の黒字)、最終損益が398億円の赤字(前期は199億円の黒字)だった。最終赤字は業績予想で示していた426億円をいくぶん下回ったものの、過去最大だ。
主力の鉄道事業の営業収益(売上高)は33.2%減の878億円だった。鉄道の運輸収入のうち定期は29.1%減、定期外が36.8%減と、定期外の減少率が大きかった。定期については、会社負担が多い通勤定期は会社員らのテレワークが進んでいても24.2%減と相対的にマイナスは限定的だったのに対し、通学定期は59.8%減と大きく落ち込み、一斉休校や大学を中心としたオンライン授業の普及が大きく影響したようだ。(ジャーナリスト 済田経夫)