5か月先の東京モーターショー中止 中国・上海は開催したのに...... コロナ対策に「差」 メーカー減で地盤沈下も

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   日本自動車工業会(自工会)は2021年10月に予定していた「東京モーターショー2021」の開催を中止すると、4月22日に発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、来場者の安全確保が難しいと判断したという。

   東京モーターショーの中止は1954年の開始以来、初めてとなる。一方、中国の上海モーターショーは4月、来場者が新型コロナウイルスの検査を受けることを条件に、予定どおり開催したばかり。かつてアジアで最大だった東京モーターショーは近年、地盤沈下が目立ち、出展メーカー数などで上海の後塵を拝している。コロナ対策でも日本は中国に遅れをとっており、5か月先のイベントすら、早くも中止せざるを得ない状況に追い込まれたといえる。

  • 東京モーターショー、中止 5か月先のイベントなのに……(画像は、東京モーターショーのホームページ)
    東京モーターショー、中止 5か月先のイベントなのに……(画像は、東京モーターショーのホームページ)
  • 東京モーターショー、中止 5か月先のイベントなのに……(画像は、東京モーターショーのホームページ)

「安全、安心な開催は難しい」と豊田章男会長

   東京モーターショーの開催について、自工会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)はオンラインの記者会見で「多くのお客様に安全、安心な環境でモビリティーの魅力を体験していただけるメインプログラムの提供が難しいと判断した」と、中止の理由を語った。

   新型コロナウイルスの影響で、日本ではクルマのイベントが次々に取りやめになっている。1月には、カスタムカーやチューニングカーの祭典「東京オートサロン2021」が中止になった。新春恒例の行事で、千葉市美浜区の幕張メッセ(日本コンベンションセンター)で開催する予定だったが、代替として専用サイトで「バーチャルオートサロン」を、無料で開いた。

   豊田会長は「今回、オンラインを使った魅力ある企画を検討してきた」とも話し、メインプログラム(実際の展示)だけでなく、オンラインの開催にも否定的な考えを示した。しかし、今のところ自工会はオンライン開催について公式に発表していないため、今後の行方は流動的だ。

3か月後の東京五輪・パラリンピックは?

   東京モーターショーは近年、集客数が減少し、主要外国メーカーが出展を中止するなど地盤沈下が目立っていた。それでも日本メーカーにとっては2年に1度の大舞台で、話題となる新車の発表が予想された。

   今回は、今秋発売予定の2代目トヨタGR86のほか、日産の次期フェアレディZなどが出品されるのではないかとみられていただけに、ファンの失望は大きい。

「東京モーターショー、中止」のニュースは海外でも話題になった。英国の国営放送BBCは、 「今回の中止は菅義偉首相が東京や大阪などに緊急事態宣言を発令する方針を受けたものだ」
「日本では現在、より感染力の強い新型ウイルスの変異株による感染が急増している」

   などと、中止に至った経緯を詳細に報じた。

   さらにBBCは

「こうしたなか、3か月後に迫る東京五輪については現在も開催の方向で準備が進められている」

   と、伝えている。

   海外メディアは東京モーターショーに続き、東京五輪・パラリンピックがどうなるのか、日本政府や東京都の対応に注目している。(ジャーナリスト 済田経夫)

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